QCサークルの今後
◆最近、食品や電気機器の製造業界、あるいは原子力発電所、等における品質に係わる不良問題が頻発している。かって我が国は品質に関しては世界に冠たる地位に位置していたのに、なぜこのようなことになってしまったのであろうか。それは、ひとつには日本的なQC活動がバブル期に軽んじられてしまったからであると思われる。こつこつと愚直に進める、いわゆる改善活動が衰退したことである。
◆その後のQCサークル活動は、各企業において、どのように行われているのだろうかと具体的な話を聞こうと思っていたところ、願ってもない良い機会が得られた。先日、4月17日、日本品質管理学界のシンポジウム(関西支部)があり、そのようなことが議論されるということで参加した。テーマは「変化に対応するQCサークル活動」であり、4社の企業がQC活動の状況について報告された。いずれも従来からのQCサークル活動の内容に、最近の環境の変化に対応するため工夫を加えられている。最近の環境変化としては、非正規社員(派遣、パートタイマー、アルバイト)の増加、設備革新やIT革新に伴う労働環境の変化、安全問題・技術問題を誘発する技術の複合化・高度化、等が挙げられる。
◆そして新規に工夫されているのは、次のような点である。
”ものづくりは人づくり”という観点から、従来のQCサークルそのものの能力を重視する観点に人間重視の観点を付加した点が見て取れる。
★”QCサークルの能力”に加えて”明るく働き甲斐のある職場”という側面を重視。
★QCをやるのでなくQCで仕事をする。
★情報共有と活動の見える化更には社内コミュニケーションの重視。
また、がんこフードサービス㈱の発表では、”サービスの品質は人である”が、人の流動性の高い業界特性(転職率が高い)のため、QCサークル運営のノウハウを、個人依存でなく、組織のシステムとしてQCを展開できる構造づくりに腐心しているという話が興味深かった。
最後に、QCサークル活動は、QC活動に愛着のある人を核として、コツコツと継続して発展させていくことが最も大切である、ということを再認識させられた。
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