5月9日、中小企業診断協会の仲間と一緒に、大阪市生野区にある枚岡合金工具㈱を見学させてもらった。同社は、経済産業省認定“IT経営百選 2006”最優秀賞受賞企業であり、その他にも中小企業経営革新法に基づく認証やISO9001の認証、等を取得している。そういうわけで見学前から、優れた同社の仕組みを見ることを楽しみにしていたが、実際に見学させて頂いて、その素晴らしさに感激、その後、尊敬の念に変わった。
同社では、経営の基本を3S(整理・整頓・清掃)に置いている。毎日、朝礼で経営理念を全員で唱和、続いて安全唱和をする。その後、全員一斉に床の掃除を行う。これを通じて「気づき」に学び、「気を込めた」金型造りをするための気持ちを醸成するのだという。私達見学者も一緒に掃除をしたが、確かに気持ちがフレッシュになり、そのような“気”が醸成されるような気持ちがした。
同社では、バブル崩壊後の経営難を克服するため、生き残りをかけ経営革新を図ったが、先ず始めたのが3S活動だという。異業種交流会(大阪リエンジニアリング研究会)参加企業6社と共に始めたが、皆と一緒に始めたことにより、お互いが励まし合い、諦めずにやり遂げることができたという。
3Sの実施状況を、事務所及び工場で見せてもらったが、まさに徹底した3Sであり、いつでも、誰でも、要るモノが直ぐに取り出せるような工夫や作業によるムダな動作の軽減の工夫等が見事になされていた。これらの3Sは全て手作りで行われている。当初、3Sが本当に経営改善に繋がるのかと、疑問に思うことがあったが、やっている内に、心の問題が現実の問題に繋がっていたという。3Sの対象は、場所の3S、モノの3S、情報の3S(後述のデジタルドルフィン)、心の3Sに及んでいる。
現在のように外部からの工場見学を受け入れるようになったのは、同社の3Sの評判を伝え聞いた松下電器㈱が、“大企業で学べないものを学びたい”という目的をもって同社に見学に来てくれた”からだという。見学に来た松下の人は大変感激し、このような立派な工場を他社にも見せてあげ、勉強してもらったらどうかと勧められたのが契機だとのことだ。その時、古芝社長は、他社に工場見学をしてもらい、社会のために還元したいという思いを持たれたという。
その後、3Sが出来ていたこともあり、ISO9001は独力で構築できた。
審査機関主催のISO構築事例発表会で、大企業に混じって参加を要請されたが、その時、小さな会社でもやれば出来るんだ!と自信を持たれた、とのことだ。
最後に、同社の業務について述べておきたい。次の2つである。
①冷間鍛造部品用金型の設計・製造・販売
②デジタル書類管理システム(商標名:デジタルドルフィン)の制作・販売:
金型工場の現場のアイデアから生まれた。非常にシンプルな検索で、書類の大海原から必要な書類を探してくれる優れものだ。
朝礼後、
全員一斉掃除
の説明を受けて
いるところ

古芝社長
の講演
最近のコメント