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2007年5月 7日 (月)

若者に働く喜びを!

◆最近の新聞に、”高校生の意識調査”が掲載された。その調査によれば、最近の高校生は、”偉くなりたくない”が多数を占め、他国に比べ元気のなさが目に付くという記事であった。大変寂しいニュースである様に思われた。

◆しかし良く考えてみると、この調査でいう”偉い”とは何を意味するのだろうか?どうも、人を押しのけて有力政治家や有力企業の社長になり、自分だけが富や権力を得るというようなイメージが感じられる。思いすぎであろうか?そうであれば、最近の有力企業の不祥事や製品不良、等により経営者の権威喪失がみられることや、汚職にまみれた政治家の権威喪失から見て、若者が、このような人になりたくないと幻滅を感じていてもおかしくない。

質問そのものが曖昧だ。”偉い”とは本来、社会を良くするとか、人類の生活向上に貢献するとか、といった意味を含むべきで、このような意味を含むものであれば、”偉くなりたい”と思う若者が増えたであろう。

◆最近、勤労状況の悪化が問題となっている。サービス残業、いわゆる”ただ働き”の常態化、更には、非正規社員の増加だ。これらは、若者の仕事に対する意欲を失わせている。

成果主義の弊害も考えられる。グローバリズムの代表者である”成果主義”は、本来の教育・訓練という意味を逸脱し、賃金を抑制するための道具として採用され、日本における良き職場環境、即ち、皆が助け合って、協力して仕事をしようという職場の雰囲気を破壊している。今、この反省がなされているが、当然である。
成果主義については、今年の文芸春秋の紙上で、元ソニー常務の天外氏が述べられていたことを思い出す。天外氏は「成果主義がソニーを破壊した」で、ソニーは成果主義の導入により、内発的動機を失った、と述べている。内発的動機とは、人に命令されなくても、人間の内側から自然にこみ上げてくる衝動である。これの反対の外発的動機とは、お金が欲しい、出世したい、名誉が欲しい、等の外部からの報酬を求める心である。後者については、全面的に否定することもないと思うが、少なくとも言えることは、人間は経済的合理性だけで仕事をするわけではないということだ。収益一辺倒のMBA的視点は考えものだ。

私は、皆が助け合って仕事をしなければやっていけない中小企業には、どうみても日本的な成果主義は合わないと思う。

◆ともかく、若者を取り巻く環境は厳しい。一日も早く、若者が喜びを感じるような職場環境になって欲しいものだ。

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コメント

八木様、ご無沙汰しています。
多田です。
お元気でしょうか?
たまたま、HPを見ていたら八木さんのページを発見してしまいました。
Blogを拝見する限りではお元気そうで何よりです。
私の方は、残念ながら以前の会社を閉じて個人事業で細々活動を行っています。
もっとも、実際にはアルバイトにで生計を立てているような状況ですが。。。。。
事務所は、南森町の汚いビルに引っ越しましたが、もし機会があればお寄りください。

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個人事業の方、頑張って頂きたく思います。
また、事務所の方にお邪魔させて頂きます。
                    八木

投稿: 多田 | 2007年5月14日 (月) 17時25分

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