仏教国ブータンに学ぶもの
先日、NHK番組「五木寛之 21世紀仏教への旅 ”幸福の王国を目指して-ブータン”」を観た。ブータンはインドと中国に挟まれた人口60万人の国である。
7世紀に仏教がインドよりこの国に伝来し定着した。以来、仏教はブータンの人々に根付き、生活そのものとなり、今では収入の約半分が近所の人々との法要に費やされるという。自分ひとりでは生きられない、皆で助け合い、支え合い、生きて行かなければならないという、思想が浸透している。仏教発祥の地であるインドと近い場所に位置していたことで、仏教の純粋さが残されたのであろう。これに対して、葬儀の時以外は関わりがない我が国の形骸化した仏教との差を感じる。
このような背景の下、ブータンには、現国王が提唱したGNH(国民総幸福量-Gross National Happiness)という基準がある。GDPやGNPとは違った基準であり、一人単独での幸福はない。他人の幸福があってこそ自分は幸福なのだ、という考えである。ブータンの人に言わせればGDPやGNPという我が国や西欧が採用している考えはレベルが低いということになる。私も人間重視の観点からは、この考えも一理あると思った。番組ではブータンの人たちにインタビューしていたが、彼等は物質的な欲望や金儲けに対しては貪欲でない。
五木さんは、番組の中で、現在の日本の状況に触れ、教育問題の行き詰まり、自殺や殺人の多さ、親子の断絶、等の問題の解決には、人間関係の進歩が大切であり、ブータンには学ぶべきものが多いと、言われていたが、同感である。
アメリカを源とするグローバル化の波が押し寄せていている今日、世界の各国が、グローバル化の波をせき止め(グローバル化には良い面もあるが、悪い面もある)、独自の良さ(社会、文化、経済)を再認識し、これを後世に残すことが必要であると感じた。
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