近江商人に学ぶ
前回の記事「企業が社会的責任を果たすためには?」の最後のところで、企業においても、ある程度、会社が大きくなった時は、それ以上大きくすることは、ひとまず一段落させ、少し立ち止まって、製品の品質を上げるとか、職場環境を良くして従業員が働きやすくする、更には社会に利益を還元する、などのことが必要だろう。と記した。
先日、「“長寿企業は日本にあり” 野村進著 NHK 知るを楽しむ 2007年12月号」を読んでいると、老舗企業「勇心酒造」の徳山社長は、「企業が存続するには、大きい倫理と理念が必要」と語っている。
また、日本の老舗企業に広く共有されている倫理観として、近江商人の「三方よし」がある。「売り手よし、買い手よし、世間よし」だ。この中で最も強調されているのは、「世間よし」だ。「世間よし」によって公的な責任が生じる。「会社は株主のもの」というアメリカ主導の市場経済至上主義に対する強烈な批判だ。
老舗企業「林原」の社員によると、研究開発の新しいプランを提案した際、社長が、「それにはいくらぐらいかかるの?」と訊いてくるのは全くないそうだ。問われるのは、「これは、よそではやっていない?」「役にたつものかな?」の2点だけだということだ。
「儲かる」か「世の中の役に立つ」かの2者選択を迫られた時、かならず役立つ方を選んで来た会社や商店が、結局は生き残って「老舗」と呼ばれるようになったようだ、と野村氏は推測されている。成るほどと思われる。
(注:勇心酒造は1854年、安政元年創業。清酒やアトピー患者のための「アトピスマイル」等を製造販売。 ㈱林原は、1883年、明治16年創業。インターフェロン-α抗がん剤、トレハロース等を製造販売)
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