日本のモノづくりを支える日本人の特性(その2)
李御寧氏が縮み志向こそ日本人の特性だと語っているが、
同氏の言葉を借りれば、「私を日本論に向かわせたのは、私自身が日本を経験した特異な立場なのです。よく似ていながらも、それでも本能的に違うと感じられる日本の特性を、私はかぞえで八つの時、小学校の教室で経験しました。・・・・・・私の文化なのだと強要された日本文化のうち最後まで同化しきれないもろもろの要素が私の頭の中にこびりついていたのです」というところから始まっている。
そして、この縮み志向を次の6つの型に分類している。
①入れ子型-込める
②扇子型-折り畳む・握る・引き寄せる
③姉さま人形型-取る・削る
④折り詰め弁当型
⑤能面型-構える
⑥紋章型-凝らせる
①入れ子型-込める の例として、
日本人の意識の方向性は、石川啄木の、「東海の小島の磯の白砂に わが泣きぬれて 蟹とたわむる」という有名な歌に端的に現れていると指摘している。「の」を繰り返し、大海を小島に、小島を磯から白砂へ、ついには蟹と涙一滴にまで縮めている。「の」があらゆる考えや形象を縮小させる媒介的な役割を果たしているというのだ。ですから、東海から始まる広い世界を凝縮したものであり、世界を縮めようとする、その意識の志向が直接言語に現れた形が、三度も「の」を繰り返した日本独特の構文法であると指摘している。
②扇子型-折り畳む・握る・引き寄せる の例として、
扇子を採りあげ、これを日本独特のものだと指摘している。
③姉さま人形型-取る・削る の例として、
ミニチュア、人形、雛祭りなどが挙げられ、「枕草子」で清少納言が「なにもなにも、ちいさきものはみなうつくし」と述べている一節を紹介している。
以上、一例をご紹介したが、最後に本書の解説者、高階秀爾氏が述べている下記の書評の適切さに共鳴し、感動させられた。
「我々はふだん、何となく、大きいことはいいことだと思っている。少なくとも西欧世界は、大きさをひとつの価値とする美学を発達させてきた。だが日本人は逆に、清少納言が「なにもなにも、ちいさきものはみなうつくし」と語ったように、小さなものに対する愛好を保ち続け、育て上げてきた。しかもそれが、単に美意識や感性の領域のみにとどまるものではなく、生活様式や行動規範までつながり、また、現代の先端的なハイテク技術の支えともなっているという著者の主張は、充分な説得力を持っていて、傾聴に値するものであろう」
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コメント
気がついてないだけで、 特性ってあるんですね~
おもしろいです!
投稿: タケやん | 2008年1月16日 (水) 16時22分