検査の基本--中国産冷凍ギョウザ中毒事件に思う
今回の事件は、千葉、兵庫両県で昨年12月以降、中国製冷凍ギョーザを食べた計10人が吐き気や下痢などの中毒症状を訴えていたことが分かって発覚した。
この件につき、日経新聞は次の様に報じている。
社説1 中国製ギョーザ中毒と企業・行政の責任(2/1)
毒性の強い有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入していた中国製ギョーザの中毒問題は、消費者に衝撃と不安を与えた。中国の食品会社の責任と原因を徹底的に追及すべきなのは言をまたない。中国製食品の安全性が疑問視されている中で、なぜ被害を防げなかったのか。日本の企業や行政の責任と課題も重い。
として、行政及び企業の責任を論じているが、私としては、行政の指導が必要なことは勿論だが、やはり第一の責任は、企業側の対応に問題があると思う。
今回のギョウザは、JT(日本たばこ産業)の子会社ジェイティフーズが、双日食料という商社を通じて、中国の天洋食品(河北省)に生産委託したものを輸入している。そして、それを生協「コープ市川店」に納入したものだ。
JTの記者会見を聞いていると、同社では検査を実施しているものの、今回の生協向けのギョウザの検査は生協側でやるので、自社では十分やらなかったと他人事のように述べている。まるで自社に責任がないと言わんばかりである。
検査の基本は、納入者と受入者との信頼関係の程度により、検査を厳しくするか、少し緩やかにするか、を決めることである。納入者が品質管理を十分やっていないと思えば、検査を厳しく(例えば全数検査)しなければならないし、品質管理を十分やっていると判断すれば、抜き取り検査でやるといった、ことである。
これは、製品の持つ重要性(影響性)によっても左右される。今回の食品のような人の生命に関るようなものについては、最も厳しい検査が行われてしかるべきなのである。
従って、商品の受け入れ側としては、納入者(天洋食品)の指導をすることは勿論のこと、納入者の品質管理が未熟だと思えば、その信頼度に応じて適切な受入検査をしなくてはならない。まあ大丈夫だろう、と言ういい加減な態度ではすまされない。
勿論、品質管理には、当初お金がかかる。安くなければ売れないということで、衛生管理を手抜きし、今回のような事件が起こせば、消費者の信頼を失うだけである。
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