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2008年3月

2008年3月30日 (日)

関西・大阪を元気に(1)

◆江戸時代に“天下の台所”と呼ばれ、経済・文化の集積地として名を馳せた大阪。
その賑わいを取り戻そうとの動きが活発だ。

3月29日にオープンした「八軒家浜(はちけんやはま)」がその一つだ。昨年は、天神橋に上方落語の天満天神繁昌亭が復活した。


◆「八軒家浜」は平安時代、京都を船で出発した「熊野御幸」の一行が船を下り、熊野詣でに陸路を辿った出発点と言われている。筆者も、地下鉄天満橋の近くに、旧熊野街道があり、天下茶屋方面の方向が刻まれている道標を見かけたことがある。

また、この「八軒家浜」は、江戸時代、伏見との定期船の船着場となり、淀川の舟運発祥地でもある。「八軒家浜」の名前の由来は、1782年、江戸幕府が官許の肩書きを許した8軒の定飛脚問屋が店舗を連ねたことに端を発する。

坂本龍馬等、幕末を賑わした多くの人物が、この船を利用して京都・大坂間を行き来していたことが司馬遼太郎の「龍馬がゆく」に描かれている。

今回、その場所の一つの区間に船着場と遊歩道が整備され、水上交通の拠点となる水上ターミナルが完成したものである。

遊歩道には、建築家・安藤忠雄氏が呼びかける「桜の会・平成の通り抜け実行委員会」の募金による桜30本が植樹されている。

◆このような動きにより大阪が元気を取り戻すのを願うのは、大阪府民全員の願いであろうと思うが、いまひとつ盛り上がらないのは、現在の大阪の人間が、市民、企業人、

行政、政治家など、皆が自分のことだけを考えて、「大阪をよくしよう」と一緒になって頑張る雰囲気がないからだ。

◆かっての大阪には、皆で頑張ろうという公共心の伝統があった。江戸は幕府が造ったのに対し、大阪の街は自分で造るという気概があった。

村田英雄が唄った「王将」に出てくる「八百八橋」という浪速の橋も、幕府が架けた公儀橋は少なく、淀屋橋を始め大半が町人が協力して造った橋なのだ。また、大阪市中央公会堂は北浜の株式仲買人の寄付、昭和の始めの大阪天守閣再建は市民、企業からの巨額の募金で実現した。

◆しかし、このような公共心の低下が最近、目立つようになった。

次回に続く。



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2008年3月22日 (土)

大河ドラマ「篤姫」が面白い

大阪の本町でデザイン事務所を開いている姉のところを先日訪れた時、NHK番組「篤姫」の話になった。

私:今度のNHKの「篤姫」は面白いので、毎回観ているけど姉さんは観ている?

姉:私も観ている。前回のNHKの大河ドラマは少しむつかしくて、面白くなかったけど、
今回のは、家庭的な雰囲気に脚色されているので面白いよ。

帰宅して、家内に話すと、

家内:今回の「篤姫」は、若い人も年配の人も観ていて評判が良さそう。一番良かったのは、主演に宮崎あおいさんという、馴染みのない女優をもってきたのが良かった。

毎回、NHKは主演に有名な俳優を起用するが、それだと、その俳優が以前出ていた番組のイメージがダブって違和感を感じるが、今回はこのようなことがないね。

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確かに、二人のいうことは確かだと思った。気丈で男勝りであったという篤姫のイメージが宮崎あおいという女優にピッタリで、島津家内の家庭的な雰囲気、篤姫と西郷隆盛

や大久保利通との自由な会話、篤姫と小松帯刀との片思いの恋、更にはジョン万次郎との交流、等々、一部には史実に基づかない?と思われる場面もあるが、

それはそれで、物語として、その時代がどのようなものであったかを分りやすく伝えていると言う点で評価すべきであろう。

ところで、篤姫の将軍家定との結婚は、将軍家から申し込まれた縁談だという。しかし、病弱で暗愚といわれた家定への嫁入りを前に、篤姫はどのように自分自身を納得させたのであろう? 当時の政略結婚の犠牲となったかなしい女性の話でもある。

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今回の「篤姫」の舞台となったのは、幕末である。幕末と言えば、坂本龍馬や勝海舟、西郷隆盛、等の男性の英雄が歴史の舞台に主として登場した。

今回のように、天璋院篤姫や和宮という今まで歴史の表舞台に現れて来なかった女性が登場し、歴史の中でどのような役割を演じてきたかを知る上で、この番組は興味深い。

昨年(平成19年4月)に放送された「その時歴史は動いた」の番組の中で、幕末の日本を救った天璋院篤姫の知られざる戦いが描かれ反響を呼んだ。

思うに、近年、我が国が、外国による植民地支配の侵略戦争に巻き込まれる恐れがあった時が2度ある。最初が、この幕末、二度目が日露戦争である。日露戦争の時は、

幸運にも我が国が勝利したが、負けておればロシア(ソ連)に領土を奪われていたであろう、と司馬遼太郎は小説「坂の上の雲」で述べている。

そして、前者の幕末においては、官軍による江戸城総攻撃が勝海舟と西郷隆盛の会談によって回避された。この回避をもたらした立役者は勝海舟であり、また、今まで歴史の表舞台に出てこなかったが、西郷隆盛への命がけの嘆願をした天璋院篤姫なのだ。

若しも江戸城総攻撃が回避されていなかったら、幕府を支援するフランスと官軍(新政府)を支援するイギリスの代理戦争となり、日本は、両国を始めとする諸外国の植民地支配の餌食になっていたかもしれないのだ。

備考:今回、私は宮尾登美子原作の小説を読んでいない。それがかえって、
原作とテレビドラマとを比較することをしないので、新鮮味を感じたのかもしれない。

しかし、篤姫のことをもっと知りたい好奇心に駆られて、次の本を読んだ:
         鈴木由紀子著「最後の大奥 天璋院篤姫と和宮:幻冬舎新書」 
歴史の裏舞台で繰り広げられていた様子がわかり、大変面白かった。

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2008年3月20日 (木)

カンボジアで学校建設--北條友梨さん

海外で社会貢献する立派な人達が多くいるが、日本ではあまり知られていない。

先日、2008年3月9日放送の毎日テレビ「夢の扉-NEXT DOOR」を観た。カンボジアで学校建設に生涯を捧げている北條友梨さんの姿があった。大変感激した。

彼女は現在77歳、20歳よりボランティア活動を始め、30歳の頃からカンボジアに住む。
60歳を過ぎて、カンボジアの子供たちに教育の機会を与えようと、私財を投じて学校建設を開始。現在までに9つの学校を建設した。

カンボジアでは3000もの学校が不足しているという。北條さんのやっていることは、単なる学校という箱物をつくるだけでない。

殆どの子供たちが貧しい故に、親の手助けをして農作業をしている。そのような家庭の親達に教育の必要性を説き、子供たちが学校に行くように働きかけているのだ。

毎日テレビのHPもご覧下さい。http://www.tbs.co.jp/yumetobi/backnumber/20080309.html

NPO法人 日本ソーシャル・マイノリティ協会HP
http://jsma.jp/010/index.php

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2008年3月18日 (火)

永続する同族企業“エノキアン協会”

企業が永続する秘訣は何か?について、このところ調査しているが、先日、中小企業診断士の先輩であるT先生から、「エノキアン協会」という協会があり、この協会の会員は、同族経営でありながら、長い歴史の風雪に堪え、今日まで堅実な経営を維持しているということを教えて頂いた。

同族企業にも優れた企業もあり、またそうでない企業もあるが、後者の評価としては、“ワンマン経営者”という言葉が思い浮かび、従業員の向上意欲が削がれるような企業風土の下で、前近代的な経営が行われているような負のイメージがある。

しかし、このエノキアン協会は前者の優れた企業に属する。

さて、「エノキアン協会」であるが、1981年、フランスのリキュールメーカー、マリー・ブリザール社の提唱により設立された。

同協会設立の趣旨は、会員がより良い友好関係を築くことによって、「伝統こそ活力」を世界に訴えることを目的としている。

そして、波乱の歴史を生き抜き守り育ててきた伝統の技術や家族のぬくもりが社会に欠かせないものであることを訴え、同時に若いアルチザン企業(=職人的技術力をもつ企業)との連携を目的としている。

入会の条件は、次の通りだ。

①創立200年以上の歴史を有する企業であること。

②創立者が明確で、その同族が現在でも経営権を持っていること。

③財務的に経営状態が良好な個人企業または法人。

加盟企業には、ワイン、ガラス製品、宝石などヨーロッパの伝統企業が名を連ね、イタリア15社、フランス10社、ドイツ4社、日本4社、スイス2社、オランダ、スペイン、北アイルランド、ベルギー各1社の計39社で構成されている。

日本からの参加企業は次の4社だ。

      法師(718年創業、温泉旅館業:石川県粟津温泉)

   http://www.ho-shi.co.jp/

      月桂冠株式会社(1637年創業、酒造業)

   http://www.gekkeikan.co.jp/

      岡谷鋼機株式会社(1669年創業、商社:名証1部上場)

   http://www.okaya.co.jp/

      赤福(1707年創業、和菓子製造・販売)

   http://www.akafuku.co.jp/index.html

赤福は、昨年、品質関連で問題を起こしたが、この失敗を糧に立ち直って欲しいものだ。

これらの企業に共通するのは次の通りだ。

 1) 危機に対して柔軟で創造的な適応をなしうる。
  2)
    オリジナルな品質への限りないこだわり。
  3)
     後継者の育成への注力
  4)
     過度な成長、過度なパワーを望まない。
  5)
  社会に受け入れられる企業文化の確立。
     そして
その文化を経営者のみなら
ず、
     全社員にも連綿と継承している。

これらの共通点はいずれも、企業を永続させようと考えている企業の経営者にとって大変参考になる!

=========================

法師のホームページを見ると、繁栄の三ヵ条として、

  ① 時代の流れに浮つかず、常に足元を見る。
   
② むり・むら・むだを楽しむ。
   
③ 誠の心を持って、お客様にも社会にも奉仕し、
   
そのために全社員が協力しあう。

とあり、上記の共通点との一致点が理解できる。

①については、常に顧客の声に耳を傾け、しっかりと足元を見た上で、時代に即した改革を施していく。守るべきものと、変えていくべきものを明確にする、という経営哲学を感じさせるものである。

この守るべきものと、変えていくべきものを明確にする」という経営哲学は、不易流行」という俳句の作法の原則を謳った松尾芭蕉の言葉に通じるものだ。
(補足:サントリー㈱に不易流行研究所というのがある)

参考:「エノキアン協会」ホームページ:http://www.henokiens.com/index_gb.php 

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2008年3月16日 (日)

政治における長期的視点の欠如(道路特定財源問題)

先日、マイミクシィの「追撃コラム発行人さん」が書かれた日記に共感したので、次のようなコメントを書かせて頂いた。追撃コラム発行人さんの日記はいつも興味深く読ませて頂いている。

  「私もこのNHKの番組を見ました。中川市長の主張には共感しました。
  なぜ、地方の政治家は、一部の者を除いて保守的なのでしようね。
  東国原知事にしても、偽装庶民派政治家に過ぎないのではないかと
  最近思うようになってきました。
  選挙によって、このような政治家を選ばないように、国民も長期的な
  視点で考えなければなりません」

最近、ガソリン税とか道路特定財源問題の一般財源化ということが話題になっている。
そもそも、「道路特定財源問題の一般財源化」は自民党の小泉さんが言い出したものだ。

しかし、現在は自民党内の道路族派を中心として、自民党の殆どが一般財源化に反対し、一方、今までは逆の立場であった民主党が賛成しているというのもおかしなことだ。

私が観たNHK番組は3月5日放送の「クローズアップ現代」だ。
現在、殆どの自治体の首長が「道路特定財源問題の一般財源化」に反対している。不思議なことだ。この中で、超少数派の兵庫県加西市の中川市長が賛成派だ。

市民派(庶民派)政治家と持てはやされている東国原知事は、実は反対派だ。

この放送を観て、現在の論議で抜け落ちている大切な点があることが理解できた。
それは、地方自治体の持ち出し分(自己負担分)だ。

道路を造ってあげようと国から言われて、喜んで道路建設の補助金をもらったのはいいが、全額をもらえるのではなく、道路建設資金の約半分を地方自治体が負担しなければならないのだ。

このため、その財政負担に耐え切れず、混迷を極めている自治体が多いのだ。中川市長は、そんなことなら、無駄な道路は造らないで、もっと市民の役に立つ福祉とか教育とかいうものに資金を使いたいと言っている。

==================

そもそも、財源が少ない現在、道路だけの財源というのは不合理である。一般財源化して、本当に道路が必要なところに限定して使用すべきものなのだ。

目先の都合ばかり考えて、道路建設のための補助金をもらえば得をするといった浅はかなことを考える自治体の首長を、良識ある選挙民は選ばないようにすべきなのだ。

短期的は視点でなく、長期的な視点で物事を考えなければならない。

八木芳昭:
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2008年3月10日 (月)

落語で街づくり(大阪池田市)

大阪池田市の商店街が活気をとりもどしつつある。その原動力は昨年4月末にオープンした「池田 落語みゅーじあむ(名誉館長:桂三枝)」だ。

数年前、この商店街を通りかかった時は、空き店舗商店街という光景を呈していたのだが、著しく様変わりした。この池田市出身の落語家「桂三枝」の協力を得て、街づくり会社「いけだ3C」が中心となって活性化に取り組んで来た結果だ。

上方落語には「池田の猪買い」や「池田の牛ほめ」など、池田を舞台にした演目がある。この落語みゅーじあむ開店を契機として、この界隈の商店主の人達が、上方落語の演目にちなんだ商品を「一店一品」で売り出す試みを始めた。

参加する店は店頭に、開発した商品のいわれを解説した高札とのぼりを掲げる。
例えば、朝のNHK連続テレビ小説の題名「ちりとてちん」の元になっている落語は、

腐った豆腐を「ちりとてちん」という長崎名物と称して食べさせる話だが、
洋菓子店「パティスリー・ヤマキ」は、これにちなんで豆腐入りのチーズケーキ
「チーズとてちん」を開発した。

落語会は毎月第2土曜日に行われる。3月8日には、「のぞきからくり」や「女剣舞」などのイベントも行われ商店街は賑やかだった。

商店街の活性化は各地で行われているが、これを成功させるには、行政、地元住民、商店が一体となった活動が必要だといわれている。この池田市においても、今後、いかに皆が協力を継続していくかが問われている。

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「池田
落語みゅーじあむ」

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桂三枝
が名誉館長

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落語にちなんだ
商品のいわれを
解説した高札と
のぼり

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イベント
「女剣舞」

東放エンター
ティメントスクール
「殺陣道」
の方々による
演技

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2008年3月 9日 (日)

池田城跡に春の訪れ

私の住む箕面市の隣の池田市に「池田城跡」という歴史を感じさせる憩いの場がある。
ここへは、時々ウオーキングでやってくる。徒歩約50分だ。

先日、訪れた時、丁度、梅が咲いていた。春の訪れを感じた。
下の写真は、梅を背景として、子供さんの写真を撮るお母さんのほのぼのとした光景
と復元された池田城。

池田城跡について:池田氏は15世紀中頃からここ池田市を中心として勢力を拡大し、摂津守護細川氏の家臣となったが、1568年には織田信長の家臣に組み込まれた。

その後、池田氏の内紛に乗じて旧家臣の荒木村重が池田城を支配するも、村重が伊丹城を居城としたため廃城となった。

平成11年、歴史の保全と活用という目的で、城跡の歴史を感じられる憩いの場として、過去の記録を基に復元された。

この後、池田市にできた「池田落語みゅーじあむ」を訪問した。次回の記事をご覧下さい。

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2008年3月 7日 (金)

東京都と読売巨人軍

前の記事「“何でも東京” この流れを断ち切ろう」で日清食品の東京への本社機能移転を悲しんだ。

考えてみると、東京都というのは、プロ野球に例えると、読売巨人軍のような存在である。

地方の球団が手塩にかけて育てたスター選手を、何の遠慮もなく奪っていく。また、それらの選手も巨人への憧れから、それに応じている場合が多い。

ところが、野球の場合は、それでもスター選手を集めただけで優勝するとは限らない、いやむしろかえってチーム力が低下することが多い、からいいものの、経済の場合は、そうではない。

スター企業が集まれば集まるだけ、東京都(あるいは首都圏といってもよい)は潤う。このように東京経済だけが活気づかせることは問題だ。地方は益々疲弊する。

石原知事が反対したが、東京都の法人税を地方に回すといった考えも、このように考えれば当たり前のように感じる。

東京への企業進出に歯止めをかけ、地方経済を維持する仕組みを政治家の方で考えて欲しいものだ。しかし、このようなことを考えて実行する政治家がいないということが、今の日本にとって問題なのだ。

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「何でも東京」 この流れを断ち切ろう!

先日、日清食品が本社機能を大阪から東京に移すと発表した。
悲しいことである。経済の東京への集中は避けなければならない!

これは、大阪に限っての話ではない。関西、九州、四国、等、いずれの企業であろうと、それぞれの企業は、自助努力もあるが、それぞれの郷土で育てられ今日に至っているのである。

それ故に、地元への義理がある。その企業が存在するということで地元のイメージを高揚させる、雇用を通じて地元に貢献する、こと等が望まれるのだ。

日清食品の亡き創業者も今回の事態を嘆き悲しんでいるだろう。


このように考えていると、以前、私が書いたホームページの記事を思い出した。

和歌山県に島精機製作所という世界に君臨する会社があることをご存知の方もおられるであろう。

横編機ニット技術、デザインシステムの分野で世界の首位を行く総合メカトロニクス企業だ。現在、工業用編機での世界シェアは65%にもなる。

アパレルメーカーでもないのに、ミラノで開かれた編機の国際見本市に200着以上の自社製“縫い目無し”ニット服を持ち込んでアパレル関係者の度肝を抜いたと言われる。

その会社の社長、島正博さんは苦労人で、リーダーシップが強烈な人である。

新聞記者のインタビュー「ビジネスの相手は世界ということですが、和歌山という土地では不利なのではないですか?」という質問に答えて、

「育ててくれた地元を離れることは出来ない。それに経営面でも開発、製造、営業など全部門を一箇所に集めた方が意志統一がしやすい」と答えている。

また、個人的にも富を得たが、お金を持っているのは好きでない。豊かになったとおもったら、そこで成長がとまってしまいそうになる。だから散在する。ということで京都に新設の短大が資金難と聞き、家を建てて残った全額を寄付したりしている。

郷土愛、地元愛というのが感じられてほのぼのとした感じがする。

私の過去の記事 「和歌山県を根拠地として世界に君臨する島精機製作所の発展を支えて来たものは何か」もご覧下さい。

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2008年3月 6日 (木)

製造業とデザイナーの交流

先日、マイドームおおさかで開催された”ビジネスマッチングブログ(BMB)”のキックオフセミナーという会合があり、BMBのメンバーでマイミクのたけやんさんの勧めで参加した。

BMBは大阪府産業デザインセンターが運営する、中小企業とデザイナーのものづくりを支援する大阪府の実験サイトである。
わかりやすく言えば、中小製造業とデザイナー(デザイン会社)との交流サイトだ。

私は、製造業でもデザイナーでもないが、たけやんさんからは、製造業とデザイナーとの橋渡しの役目をする立場で参加したらどうかと勧められたもの。
今後も参加する予定である。


製造業とデザイナーとの交流のメリットは、例えば、製品の見映えや包装のデザイン性を改善することにより、魅力ある製品に生まれ変わる可能性があるということだ。

=========================
当日の講演の内容で、印象に残った言葉を挙げておきたい:

・自らの情報発信により、顧客がニーズを創造してくれる:
    三元ラセン管工業株式会社 高嶋氏

・成功した社長の共通点のひとつは、”縁を大切にする”ということだ:
    日本一明るい経済新聞編集長 竹原信夫氏

竹原氏の取材経験によれば、会社の発展の契機となった「製品のアイデア」とかは、その殆どが異業種交流等の会合で知り合った人からヒントを得たものだという。

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2008年3月 4日 (火)

仕事と生活の両立を!:ワーク・ライフ・バランス/残業

ワーク・ライフ・バランスとは、“仕事と生活双方の一方に偏らず、双方を調和させ、充実させること”といえる。要は、人間的な生活を維持しつつ仕事をすることである。

今後、労働力人口が減少し続ける中、企業が優秀な人材を確保するには、ワーク・ライフ・バランスへの取り組みが必要だ。

先日、仲間とワーク・ライフ・バランスを損なう原因のひとつとなっている“残業”について議論した。残業は最近、偽装管理職問題でも採りあげられている。


その時、仲間の一人から出てきた意見の中に、“残業は、会社における仕事のやり方や組織・人の様々な問題を隠蔽する”というのがあった。

残業が多いのには、種々の原因があるからである。この原因を究明することにより生産性をあげることができる。しかし、そのチャンスを残業が潰しているということだ。

我が国においては、一般的にホワイトカラーやサービス業の生産性が低いと言われているが、その様子は、私のブログ(労働生産性の国際比較)で言及したとおりである。

さて、このような残業が多い原因を探るには、経営者及び社員が一丸となってKJ法などを使って、意見を自由に述べ合うことが必要だ。問題解決の第一歩は、このように事実を把握することなのである。


例えば、

①仕事が能力と比較して多すぎる。 ②やる気(モチベーション)が欠如している。③上司の目を気にして付き合いで残業している。④仕事のやり方が標準化されていない。

⑤職場環境:電話で話す人の声が大きく、仕事が中断される。⑥職場において私語や無駄話が多く、集中力がかき乱される。⑦顧客との関係で、無理な短納期の注文をとった。

⑧供給元からの納品が遅れたので、やむを得ない残業が発生した。
などなど、である。

これらの原因の解決策としては、社内で解決できるものが多いが、⑦⑧のように、顧客や供給者との協力により解決しなければならないものもある。そして解決できればよいが、解決できない場合が多い(特に立場の弱い中小企業は)。

サプライチェーン上、立場が弱い企業は、立場の強い大企業等の犠牲になり、顧客を失うことを恐れるがゆえに、納期上無理な注文を引き受け、残業を余儀なくされることが多い。

最近、CSR(企業の社会的責任)の観点から、立場の強い企業の横暴を監視し、弱い企業の立場に立って行動するよう指導する動きがあることは良いことである。


このような問題を解決するには、企業のトップが強い決意で残業をなくすようリーダーシップをとること(例えば、夜、時間が来れば消灯する、等)も勿論必要だが、個別の企業だけでは解決しないので、政治がしっかりとしなければならない。

西欧におけるように、残業を規制し、残業への罰則を課すような社会システムをつくる必要がある。

八木芳昭
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2008年3月 1日 (土)

小さな会社の事業承継

日本の企業の90何パーセントは中小企業である。そして、これらの企業の内、廃業するところが今後、益々増えてくる見込みである。

その原因は、倒産もあるが、後継者に恵まれず、やむなく廃業するところも多いからだ。
その中でも、従業員10名前後の小さな企業の問題は深刻だ。いわゆる後継者問題は切実な社会問題だ。

=======================
私が、大阪商工会議所の経営相談員として訪問する会社の中にも、このような会社が幾つかある。

その中の一つの会社に、製菓業を営む会社がある(以下、仮にA社とする)。経営者は50歳代後半の女性だ。彼女は、父から引き継いだ会社を引き継いでこつこつと地道にやってきた。

身内の親戚で経営を手伝う者はいないようだ。そして、そこで働いているのは、その殆どが社会的に自立してやっていけない、いわゆる障害者だ。

それに、管理職として、彼女を支える者もいないので、会社の雑事も含めて、全て自分でやらなければならないので、休む時もないくらいだ。

私が、2年前に、経営相談員として、その会社を訪問してからもいろいろなことがあった。

機械が故障しても、製造メーカーの対応が今ひとつなので、応急処置をしなければ、生産がストップする。そのような応急処置を頼むような者の知り合いもいないので、

やむを得ず、自分で工夫して、機械を修理する。元々機械のことなど、全くわからなかったが、今では、少々の機械修理は自分でやる。しかし、機械のことなど専門でないので、手に負えないこともある。

彼女から、機械トラブルで何か問題が生じたとき、相談したいので、誰か紹介して欲しいという依頼があったので、また、私も、そのようなことで協力してもらうような会社を紹介してあげたいと思っていたので、これも私の知り合いの会社の人を紹介した。

また、隣の会社との配管を巡るトラブルがあった。隣の会社が流した廃液が原因で、A社で異臭が発生した。そこで彼女は、その原因と解決を隣の会社に求めたが、

埒があかなかったので、弁護士を立てた。しかし、その弁護士が、彼女の意向を汲んだ弁護をしなく、また、対応が不親切だったのにもかかわらず、高額の弁護料を要求したりと、・・・・・・

現在、この問題は、これも私の知り合いの会社で建設業を営む某氏の好意で、A社の相談に乗ってもらい、問題は解決に向かいつつある。

=====================

このような状況であるが、彼女も、いつまでもこのようなことが出来ないので、いつか適当な人がいれば経営を譲りたいと漏らしている。

社会的に自立が難しいこのような人達の雇用を確保し、かつ現在の事業を継続させることが彼女の思いであるが、その前にしなければならないことも多い。

現在の製品だけでやっていけるかどうか?新しい製品を開発する必要があるか?そのためにマーケティングをどのようにしたらよいのか?今の工場をもう少し小奇麗にしなければ、食品メーカとしての信用が得られないのではないか?、などなど、の課題がある。

私は、A社の今後を見守るため、今後も経営相談に関与していくつもりだ。それはそうとして、同時に、A社のような会社を引き継ぎたいという若者の発掘にも力を注いで行きたいと思っている。

八木芳昭
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