小さな会社の事業承継
日本の企業の90何パーセントは中小企業である。そして、これらの企業の内、廃業するところが今後、益々増えてくる見込みである。
その原因は、倒産もあるが、後継者に恵まれず、やむなく廃業するところも多いからだ。
その中でも、従業員10名前後の小さな企業の問題は深刻だ。いわゆる後継者問題は切実な社会問題だ。
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私が、大阪商工会議所の経営相談員として訪問する会社の中にも、このような会社が幾つかある。
その中の一つの会社に、製菓業を営む会社がある(以下、仮にA社とする)。経営者は50歳代後半の女性だ。彼女は、父から引き継いだ会社を引き継いでこつこつと地道にやってきた。
身内の親戚で経営を手伝う者はいないようだ。そして、そこで働いているのは、その殆どが社会的に自立してやっていけない、いわゆる障害者だ。
それに、管理職として、彼女を支える者もいないので、会社の雑事も含めて、全て自分でやらなければならないので、休む時もないくらいだ。
私が、2年前に、経営相談員として、その会社を訪問してからもいろいろなことがあった。
機械が故障しても、製造メーカーの対応が今ひとつなので、応急処置をしなければ、生産がストップする。そのような応急処置を頼むような者の知り合いもいないので、
やむを得ず、自分で工夫して、機械を修理する。元々機械のことなど、全くわからなかったが、今では、少々の機械修理は自分でやる。しかし、機械のことなど専門でないので、手に負えないこともある。
彼女から、機械トラブルで何か問題が生じたとき、相談したいので、誰か紹介して欲しいという依頼があったので、また、私も、そのようなことで協力してもらうような会社を紹介してあげたいと思っていたので、これも私の知り合いの会社の人を紹介した。
また、隣の会社との配管を巡るトラブルがあった。隣の会社が流した廃液が原因で、A社で異臭が発生した。そこで彼女は、その原因と解決を隣の会社に求めたが、
埒があかなかったので、弁護士を立てた。しかし、その弁護士が、彼女の意向を汲んだ弁護をしなく、また、対応が不親切だったのにもかかわらず、高額の弁護料を要求したりと、・・・・・・
現在、この問題は、これも私の知り合いの会社で建設業を営む某氏の好意で、A社の相談に乗ってもらい、問題は解決に向かいつつある。
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このような状況であるが、彼女も、いつまでもこのようなことが出来ないので、いつか適当な人がいれば経営を譲りたいと漏らしている。
社会的に自立が難しいこのような人達の雇用を確保し、かつ現在の事業を継続させることが彼女の思いであるが、その前にしなければならないことも多い。
現在の製品だけでやっていけるかどうか?新しい製品を開発する必要があるか?そのためにマーケティングをどのようにしたらよいのか?今の工場をもう少し小奇麗にしなければ、食品メーカとしての信用が得られないのではないか?、などなど、の課題がある。
私は、A社の今後を見守るため、今後も経営相談に関与していくつもりだ。それはそうとして、同時に、A社のような会社を引き継ぎたいという若者の発掘にも力を注いで行きたいと思っている。
八木芳昭 :
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