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2008年6月17日 (火)

中小企業者における相互協力の必要性

◆先週末、大阪市東成区にあるN社の若手社長さんから突然、電話を頂いた。

お話を聞くと、部品を供給してもらっている他府県の取引先から、業績不振で今年の11月、急に廃業することになったという予告を受けたという。

ひとつの部品に過ぎないが、N社にとっては、死活問題に直結する重大な問題だ。

その取引先は最近の原料値上げによるコストアップを製品価格に転嫁できず、経営が成り立たないため、やむを得ず廃業するということらしい。

そこで、その取引先に替わって同じ部品を作ってくれる会社を知っておれば教えて頂きたいということだった。

少し考えた結果、東大阪市にあるA社がそれにぴったりだと思い、A社の社長さんに直ぐ電話した。予想通り、製作可能だということがわかりひと安心。

そういうことで、月曜日、N社の社長さんをA社に紹介するため、一緒にA社を訪問した。
商談の結果は、採算性のことは検討を要するものの、とりあえず引き受けて頂けるような運びとなった。

◆同日、帰途、同じ大阪市東成区にあるA社を訪れた。同社は最近、新聞やテレビなどのメディアの取材をよく受けている中小企業では有名な企業だ。しばらく社長さんと
懇談する。

社長さんのお話を聞いていると、同社の取引先は約500社あるが、毎月1社ぐらい、年間にすると12社程度が廃業していると言っておられた。

◆日本の製造業は毎年、廃業率が開業率を上回り減少傾向にある。
この傾向に歯止めをかけようと国も地方公共団体もそれなりに努力しているが、決め手はない。中国の台頭等により、製造業の空洞化といったことが言われてから久しい。

◆しかし悲観的なことばかりではない。中国では技術的な問題で製造できず、日本に回帰して来る企業も見られるのだ。

◆ある程度のモノづくり機能を日本の中に維持することは将来的には絶対に必要だ。
農業の自給率が先進国内で最低となり、論議を生じているが、ものづくりもこのようなことにならないよう注意が必要だ。

そのようなことにならないためにはどうするか? 行政の中小企業対策も必要だが、あまりこれに頼りすぎることは危険だ。日本の中小企業政策は、国や地方公共団体の財政状態によって大きく左右される。一定した支援策を望む方が無理というものだ。

また、行政の政策が中小企業者の現場ニーズを的確に捉えていないことも問題だ。
この度の橋本府政においても同様なことが言える。

やはり自分のことを一番よくわかっている中小企業同士が自助努力により、お互いに
協力しあって対応していく仕組みづくり・相互協力ネットワークの必要性を感じるこの頃である。

by yagiyoshiakihttp://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/

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コメント

いつも問題提起を楽しみに読ませていただいています。

食料自給も産業基盤となるものづくり技術の維持も、そして少子化対策も、本来国や自治体が指針をしますべきテーマのように思いますが、財政難を理由になかなかうまく行きませんね。

八木さんのような民間人の支援は、今後ますます重要になってくると思います。

投稿: きたぐちゆきこ | 2008年6月18日 (水) 00時44分

私の方もきたぐちさんの幅広い活動を拝見して
勉強させて頂いております。
先日、きたぐちさんがmixiに書かれていた
奈良県香芝市の「かしば企業塾」のお話も民間人に
よる地域の支援として大変よい参考例ですね。
      

投稿: やぎ | 2008年6月18日 (水) 10時26分

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