会社の経営哲学を確立しよう!~会社の発展と共に考えるべきこと~
私が地域活性化コーディネーターとしてお世話になっている大阪産業振興機構は過去に約180社の創業のお手伝いをしていますが、これらの企業の方に定期的に「チャレンジ・ニュース」というニュースを流しています。下記は先日、私が担当し投稿した原稿の内容です。
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会社の経営哲学を確立しよう! ~会社の発展と共に考えるべきこと~
皆様の会社は、まだ創業後間もないか、あるいは創業後5、6年以内でまだ若々しい会社が多いものと思います。今回、会社が大きくなるにつれて心掛けておく方がよいと思われる点を少し述べたいと思います。
会社が発展するにつれて社員の数も増え、2、3人でやっていた頃と比べると、組織としての問題が浮上して来ます。少人数でやっている内は、仕事の仕組みが特に決められていなくても、各人の頭の中に入っている情報だけで十分やっていけますし、相互のコミュニケーションにしても特に不自由を感じることはないと思います。また、責任と権限なども各人の自由裁量に任せておくだけでも会社は十分機能するかもしれません。
しかし、社員が10人とか20人とかいう規模になって来ますと、そうはいきません。それなりの組織体制、すなわち、責任と権限や仕事のやり方、更には給与制度などを明確にすることが必要となって来ます。言い換えれば、会社の発展のそれぞれの節目で、会社の仕組みが、現状でいいのか、などをチェックして見る必要があります。
次に大切なのは、自社を取り巻く経営環境にどのように対応していくかです。そこで求められるのが経営者の哲学です。社会のために役立っているか?従業員のためになっているか? と自問することが大切です。
ここで私が思い出すのはメディアでも取り上げられたある会社のことです。その会社の名前は、伊那食品工業㈱です。同社は寒天の製造を行っており、寒天のシェアは、80%に上ります。和菓子つくりに欠かせない寒天ですが、消費者の和菓子離れが進み、寒天メーカーが先細りする中、生き残って来ました。そのように生き残って来られたのは、和菓子以外の市場を次々と開拓してきたからです。通常の固まる寒天の他に、やわらかい寒天、形がくずれない寒天、寒天を使った口紅(色落ちしない口紅に使用されている)などの用途開発を続けて来たからです。
ある時期、熱湯を注ぐだけで簡単に作れるゼリーの素を開発しました。この評判を聞いて大手のスーパー数社から提携の話がありましたが、この申入れを断りました。
その理由は、今この商談を受ければ、生産設備も従業員も増やさなければなりません。しかし、ヒットはいつまでも続くわけでなく、商品には寿命があります。それが売れなくなって、従業員を切り捨てるようなリスクを冒すわけにはいかないと考えたからです。即ち、急成長は長期間の成長にとってはマイナスであるという経営哲学です。
同社は更に、考えたモノが商品になるまでには、かなりの歳月が必要なので10年を見越した我慢の経営が必要であると説いています。そのため、営業担当には販売目標もなくノルマもありません。その代わり、寒天とは関係なさそうな業界に足を運び、新規市場の開拓を行っています。
因みに、同社は従業員満足を第一に掲げ、一度もリストラを行わず従業員の雇用を守っています。
同社のホームページ:
http://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/profile/gaiyo.html
どうか皆様におかれましても、独自の経営哲学を確立され、従業員のため、世のためになる企業への道を歩んで頂きたいと思っています。
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