大企業の社会的責任
この不況下、中小企業の倒産が相次いでいる。景気回復の兆しが今年の末頃には見えるだろうという見通しもあるが、それを待たずしての倒産である。
特に自動車産業関連の部品をつくっている中小企業の経営は厳しいようだ。例えばトヨタ依存度の高い名古屋地区や東大阪などの中小企業は厳しいようだ。このような部品メーカーが倒産によって消えていくことは、そのまま日本のものつくり基盤の低下につながる。
かっての良識ある大企業は、協力会社である中小企業の協力があってこそ自分の会社も存在するのだという謙虚な態度を持ち合わせていた。しかし最近は、そのように中小企業を守ろうと言う意識が希薄になって来ているようだ。自社がお世話になった中小企業が倒産するのを見捨てず、何らかの支援の手を差し伸べるのが大企業の社会的責任である。
日本が独自に築き上げてきた、人間性尊重に基づく日本的な経営を棄て、アメリカ的な企業改革に安易に取り組んで来た結果がこれである。グローバリズム、行き過ぎた自由主義の蔓延の下、かっては世界的に見れば比較的平等で階級差の少ない社会であった我が国は、最近、格差が拡大している。これにより日本の競争力の源泉であった「現場力」や「労使協調」、「協力会社との一心同体」というような日本的経営の特徴が失われつつあることは残念だ。この流れをできるだけ早く断ち切って、我が国に合った企業経営を取り戻さなければならない。
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