伊賀の里・モクモク手作りファーム
三重県・伊賀の里に「モクモク手作りファーム」という少し珍しい名前の農事組合法人がある。先日、農工商連携のセミナーの一環として、同法人を見学する会合があり、受講者の一人として参加した。私としてはこのような農業関係の企業を訪問することは少ないので、大変新鮮で興味深く感じた。
現在、同法人は、農業・牧畜全般にわたって広く事業を行っている。1987年、伊賀の養豚農家19名でハム工房を始めたのがビジネスの起点だという。しかしハムを作ろうにも売れず、物を売るだけでは駄目だと痛感。転機となったのは、手作りウイナー教室を開いてからだという。この教室の評判が良かったこともあり、同社の名前は口コミで伝わった。その後、来客の増加もあって、食事をサービスする必要性もあり、レストランを開設するなど、事業の範囲を拡大した。1995年には現在の姿であるファクトリーファーム「モクモク手作りファーム」をオープンした。
現在は農場全般にわたっての事業を手がけている。自社保有の農場や近隣農家との連携により、そこで生産された米、野菜、ハム、ビール、ワイン、ジャージー牛乳などを販売すると共に、農産物を使った直営レストランの経営、宿泊ロッジの運営、農学舎の運営、などを行っている。お話をお聞きしたM理事さんは、同社の事業はあくまでもモノづくりであり、観光事業ではないと言い放っておられる。1996年には通信販売も開始した。
設立当初からそうであるが、営業的には口コミが頼りで、またこれで十分だというところが興味深い。事業にはつきもののクレームは殆どなく、顧客から愛される存在であるらしい。顧客からの手紙(感謝の手紙が多いという)が格好の従業員の教育材料となっているというところも面白い。
そこで働いている方の平均年齢は32歳と若さに溢れている。社内結婚も多い。学歴不要で誰でも応募でき、霞ヶ関に勤めていた元官僚の若者もいるという。事業の性格上、給料は高いといえないが、皆働き甲斐を感じているという。実際、彼等の様子を見ているとそのように感じた。
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