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2010年2月26日 (金)

トヨタ・米議会での公聴会に想う

先日、トヨタの豊田章男社長が米国議会の公聴会に出席した。公聴会は約3時間半と長時間に及んだ。豊田社長がどのような態度で公聴会に臨むのか大変興味があったが、リコール問題を引き起こした責任を感じていること、米国の顧客に対して多大な迷惑をかけたことを冒頭で率直に謝罪し、公聴会を通じて誠実に、低姿勢に徹したことは、まずまず良かったのではないかと思う。日本における記者会見で、トヨタの技術担当役員がいささか自社を守るために顧客目線での発言をしていなかっただけに心配していたが、そのようなことがなく安堵した。トヨタ非難の急先鋒であった議員からも一定の評価を得たようである。

しかしながら、もう少し説得力のある説明が欲しかった。社長に就任以前の問題であったから自分は問題を良く把握していないので分らないとか、技術屋でないから細かい説明はできないとか、という発言もあり今回の問題を収束させることには至らなかった。

例えば、電子制御システムと急加速との関係を否定した根拠には今ひとつ説得力がなかったし、また米国監督局との交渉でリコールの拡大を防ぎ、1億ドル以上の費用を節約できたという内部資料に対して、ここに書かれている英語が分らない、と質問者の回答を回避したり、アクセルペダルの問題を知った時期を問われて、昨年末あたりと思うと明確な回答を避けたことなどが質問者の心証を悪くした。
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今回のトヨタの問題は、1980年代にあった米国における日本製品バッシングとは趣を異にしている。というのは、その当時とは違い、トヨタは米国に生産拠点と販売拠点を持ち、米国における多くの雇用創出に貢献しているからだ。従って、トヨタを、ここぞと言わんばかりに攻撃するグループもいればトヨタを愛し弁護するグループも存在する。

私など品質管理に関連した仕事も行ってきた者の間では、トヨタの改善(カイゼン)は日本製品の高品質の代名詞であり、世界的にもカイゼンは英語にもなっている言葉なのである。
「問題が生じれば製品ラインを止め、不良品を出さないようにする。そしてその問題が起こったのはなぜかと、なぜなぜを5回繰り返し原因を徹底的に究明する」というのが日本的品質管理の真髄なのである。
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この精神がなぜ、本拠本元のトヨタにおいて綻びを生じたのか分らないが、一時的にせよGMを抜いて世界一になった驕りが組織の中に忍び込んでいたのであろう。それと私が思うには、この世界不況の中で、人を重視して来たトヨタが一時的にせよ派遣切りをしたということである。製品の品質は、これをつくる人々の汗の結晶である。個々の者が、会社を信頼し、働くことに生き甲斐を感じ、皆が当事者意識をもって初めて、よい製品が生まれる。会社の利益のみを考えて、そこで働く人達を躊躇なく切り捨てるような企業においては、良い製品が生まれるはずがない。このことは他の企業においてもいえることだ。特に、自動車や航空機、食品、医療機器、などの人命に関る製品をつくっている企業は心がける必要がある。

トヨタの今後の課題は、このように、従来同社が行って来た人を大切にする経営を取り戻すと共に、グルーバル化した経営の中で、世界における拠点間の意志疎通が円滑に行われるような体制をつくることであろう。

by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/

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