ダイチ株式会社・五輪選手を支える小さな大会社
バンクーバー冬季オリンピックの終盤の2月28日の早朝、明るいニュースが飛び込んで来た。スピードスケート女子団体追い抜き(パーシュート)で、田端真紀選手(35)、小平奈緒選手(23)、穂積雅子選手(23)のチームが銀メダルを獲得したのだ。金メダルのドイツチームとの差は僅か百分の2秒差という接戦であった。
このチームの中の田端選手と穂積選手は富山県富山市にある社員40人の小さな会社の従業員だ。その会社の名は、ダイチ株式会社。創立40年の歴史を誇る、自然からの災害の脅威である地すべりやがけ崩れ、落石などによる土砂災害の防止とその復旧のための仕事をしている地元企業である。
同社は、1904年、富士急を退社し、スポンサーを探していた田畑選手を迎え入れた。会長の田中実さんが「力のある選手をなぜどこも支援しないんだ」と決断したものだ。翌年、駒大苫小牧高の後輩の穂積選手も加わり、五輪に向け活動を本格化させた。そして同社は、この厳しい経営環境の中、会社ぐるみで2人を支えて来た。
我が国は、中国や韓国とは違い、国家による選手の支援体制は充分とはいえない。そのような中、ダイチ株式会社のような小さな会社によって五輪選手が支えられていることを知って大変感激させられた。下記は毎日新聞が報じる記事である。
ちなみにもう一人の小平選手は、大学卒業後、実業団からの誘いを断り、長野県・松本市にある相澤病院に勤務している。同病院は創業1908年。夢と感動と輝きに満ちた病院を目指している優れた病院だ。
(備考:この他、個人種目では、穂積選手は女子3000Mで6位、小平選手は女子1000Mで5位、1500Mで5位と好成績をあげた)
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五輪スピード 銀メダル田畑、穂積の所属企業 社長が涙
(毎日新聞) 2/28 19:35
日本チームが銀メダルを獲得したバンクーバー冬季五輪のスピードスケート女子団体追い抜き。田畑真紀選手(35)、穂積雅子選手(23)が所属する富山市の「ダイチ」は、社員約40人の中小企業。厳しい経営環境の中、社長の田中洋一郎さん(46)らが自らの給与を削って2人を支援してきた。田中さんは「こんな小さな会社でもメダリストを送り出せた。誇りに思う」と目を潤ませた。
決勝で日本チームの健闘に歓声を上げるダイチの社員ら=富山市一本木の同社で
2010年2月28日午前7時23分、小林祥晃撮影
ダイチは公共事業の予定地でボーリング調査などを行う地質調査会社。スケート部は95年に発足。田中さんの父で会長の実さん(75)が、国体の地元開催に向けた選手育成を依頼され「地元に恩返しをしよう」と始めた。
04年、富士急を退社し、スポンサーを探していた田畑選手が入社。実さんが「力のある選手をなぜどこも支援しないんだ」と決断した。翌年、高校の後輩の穂積選手も加わり、五輪に向け活動を本格化させた。
ところがここ数年、景気悪化や公共事業の削減で年商は最盛期の半分以下に。部員2人の経費は年間2000万〜3000万円だが負担は重い。それでも田中さん親子は「小さい会社でもやれるんだ」という思いを胸に、自分たちの報酬を削って部費を捻出(ねんしゅつ)した。
2人が出場した28日(日本時間)、実さんは現地で、田中さんは社員や家族ら約70人と会社で応援した。田中さんは銀メダルの結果に「苦しかったけれど、続けてきてよかった。特別ボーナスは出せないけれど、よくやったと言ってやりたい」と目を潤ませて笑った。
【小林祥晃】
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by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/
下記の写真は、今回は出場できなかった中学生の高木美帆選手も入っての撮影である。今回サポート役に回り、メダルがない高木選手に3人がメダルを架けてあげる様子もテレビに映し出されていて、4人揃ってのチームワークの良さを感じさせるほほえましい光景だった。
左より
田端選手、
小平選手、
高木選手、
穂積選手
最も若い
中学生の
高木選手は
今回、サポート
役に回った
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