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2010年4月 9日 (金)

光製作所(大阪市東成区)・・風雪を耐えて来た堅実な経営

大阪市東成区大今里というところに㈱光製作所という精密板金加工や照明器具の製造をされている、小さいながらもどことなく風格を備えた会社がある。同社の社長・井上圭司さんとは、私が大阪商工会議所の経営相談員をしていた当時からのお付き合いで、私より少し人生の先輩であり、時々訪問しては、経営の苦労話などをお聴きしては、私の経営コンサルタント業務の糧にさせて頂いた。

同社は1937年(昭和12年)の創業であり、以来、堅実な経営により戦中・戦後の風雪を切り抜けて来た。井上圭司さんは同社の2代目社長である。井上さんはひと言で言えば、厳格な精神をお持ちである。このことが会社全体に適度な紀律のとれた雰囲気を醸し出している。そうかといって決してワンマンでない。温かみを感じる方である。

その厳格さを感じさせる一例を挙げると、会社の会計と個人の会計の分離がある。よく中小企業では、会社のお金と経営者個人のお金とを混同することが多く見られるが、同社ではそのようなことは厳しく管理されており、お金の混同は見られない。例えば昼食などは社長自身、自分の財布から支払う等、会社の財布と個人の財布を完全に分けることが徹底されている。
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さて、井上さんは、中国やセイロン、モルディブなどへ出かけることが多い。同社では、将来に備えて新製品を開発しているが、草刈機、自家用発電機、薬会社向けの分袋機など、それらの多くは井上さんのアイデアで開発したものである。これらの製品は日本国内にも供給されているが、海外にも多く供給されている。

そして発電機などは中国の重慶というところにある中国企業に、台湾企業を通して作らせている。それ故日本企業を相手の話と異なり、契約の問題をしっかりとしなければならないし、品質についても充分指導しなければ満足のいく製品は出来てこないという。

よく現在の中国は技術レベルがかなり高くなり、かっての中国のことを考えると見当違いだという評論家やメディアの報道が多く見られるが、それはパナソニックやユニクロなどの超一流大企業関連企業にのみ当てはまることであって、大部分の中国企業はレベル的には依然として低いという。

従って井上さん自ら自腹で勉強会を開いて、生産管理の基本(QCD:品質、コスト・納期)を徹底的に教育されているという。最近はようやく教育の成果が上がり始めた。しかし折角教育した者が他の良い条件(給料など)を求めていなくなったりするので、苦労も絶えない。

最近、モルディブへ自家用発電機を納める事業をやり終えたとのこと。モルディブはインド洋にある島国である。26の環礁や1200の島々から成る人口30万人の国だ。海抜の最高が2.4mであり、最近では海面上昇による危険に晒されている。同国の大統領とも懇意にされており、井上さんは隠れた親善大使の役目も果されている。事業にまつわるお話を面白く聞かせて頂いた。(写真はモルディブの首都マレ)
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最後に井上さんには2人の息子さんがおられる。次男の方は従来から同社で働いておられるが、最近、外国の大学を出られた長男の方が、他社での勤務を終え同社に加わられた。2人の立派な後継者も得られたことにより、同社の将来は明るい。

先日、お邪魔した時、最近、私が仲間と一緒に出版した書籍を贈呈させて頂いたところ、長男の方が異業種交流会の同友会で活動されており、そこでその本をPRしてくれるという。ありがたい話であった。

 by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/

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