「大人かわいい」という言葉について
先日、NHKのクローズアップ現代で、私にとっては耳慣れない「大人かわいい」という言葉が取り上げられていた。番組ではタレントの吉川ひなのさんや「大人かわいい」ブームを仕掛けた風間ゆみえさんへの密着取材が採りあげられていた。
「大人かわいい」とは大人になっても女の子らしさを追い求めることで、特に30歳前後のアラサー世代を中心に支持を集め、更には40歳までの女性に及んでいるということであった。そして街には花柄のワンピースやフリルのスカートを身に着けた女性が目に付くと伝えていたが、確かに最近、街を歩いていると、その様な光景が目に付く。
この「大人かわいい」という言葉で表現されるスタイルがブームとなっているのは、最近の社会経済の低迷、将来的に見た結婚難や生活不安などからくる閉塞感があり、何とかこれに打ち勝って元気にやって行きたいという若い女性の気持ちが背景にあるのだと言われている。
確かにそういうこともあると思うが、しかし、私はこれに加えて、いつまでも若く美しくありたいという女性の気持ちの表れであると思う。このような気持ちは男女にかかわらず同じだと思うが、時と場所を選べば、年相応の服装を纏うという既成概念から離れて、自由な若々しい服装で若さを維持しようとすることは本人にとっても、それを見る人にとっても楽しいし、良いことではないかと思う。
ところで、「かわいい」という言葉についてであるが、あるブログで某氏が「かわいい」は清少納言の「枕草子」に出てくる「をかし」とか「いとをかし」と同じ様な意味で”いいこと”とか”好ましいこと”という意味に解釈するのが適切ではないかと述べ、日本人の価値観を表す言葉として、昔から伝統文化として連綿と受け継がれてきたものであろうと意見を述べられていた。
私が以前読んだ本に、李御寧さんという人が書いた「縮み志向の日本人」という著名な本がある。この本は外国人から見た日本人の特質を述べた本として大変読む価値のある書籍であるが、
この中でも著者が、「枕草子」の中で「ちいさきものはみなうつくし」などと記されていることに触れ、日本語の「うつくしい」という言葉は、小さきものに対する愛、可憐なものに寄せる慈愛など、可愛いという意味から転じたものであると述べており、日本人の精神の中に、”うつくしい”や”可愛い”という言葉が伝統として受け継がれていると説明している。
最近ブームとなっている「大人かわいい」という言葉も、決して幼稚な言葉ではなく、日本の伝統文化に由来する日本人の精神文化を表す言葉と見なせば納得させられる。
by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/
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