チリ落盤事故から窺えるもの
チリ北部のサンホセ鉱山落盤事故で、約700mの地下に閉じ込められた33人の作業員全員が、世界が見守る中、69日ぶりに救出された。この救出作戦の成功の裏には、一人のリーダーの存在とチリ人の冷静な国民性が大いに関係しているという。
まず、リーダー格であったルイス・ウルスワさん(54)は、落盤事故の直後、仲間を集めて、落盤の状況を調べるために作業員3人を坑道内の探索に行かせた。そして、自分たちが閉じ込められたと判断すると食糧の配給制を敷いた。手元に残っていた2日分のツナ缶と牛乳から、48時間ごとに一人当たりツナはスプーン2さじ、牛乳はコップ半分に制限した。また、全ての決定を、多数決で民主的に決めたという。
まさに驚くべき団結力である。生命が危険に晒されている状況で、皆わがままを言わず、一人の優れたリーダーの下で、人間らしい理性を失わず行動したのだ。
リーダーのウルスワさんは6人兄弟の長男。14歳の時に父を亡くし、幼い時から母親と一緒に、兄弟のしつけをするようになり、兵役の時にも仲間を統率したりして、若くして指導力を身につけていたという。
このようなリーダーがいたからこそ上手くいったともいえるが、忘れてならないのはチリ人の国民性も大きく関係していることだ。冷静沈着、約束や時間を守る、真面目に計画的にやる。我々日本人と似通った国民性だ。また全国民が自分のことのようにかたずをのんで見守った。このようなことが重なって事態は成功裏に運んだのだ。
ところで、今回の事故で改めて反省すべきなのは、鉱山を経営する会社の効率第一の経営方針だ。生産を優先し、作業員の安全性などを無視していたという。このような企業は日本の一部の企業にも見られることだが。
リーダーのウルスワさんが、救出劇成功のお祭り騒ぎの中で、大統領に「二度とこういうことがないように」と釘をさした。
救出された33人の方
by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/
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