天明の飢饉から学びたいこと・食料自給率の維持、向上
江戸時代、天明2年(1782年)に東北地方を襲った冷害は5年間にも及び、長雨に加えて浅間山の噴火が重なり大飢饉となった。特に八戸藩では被害が大きく、人口の半分が飢えで亡くなった。飢饉に伴い、打ちこわしや子供の間引きなどが日常茶飯事に行われ悲惨な状態であったという。その惨状については、添付の写真「天明飢饉図」をご...覧下さい。しかし同じ東北地方でも松平定信が指導し藩政改革を行っていた白川藩では、一人の死者も出さなかったという。松平定信は後に幕府の『寛政の改革』を指導した人物である。
八戸藩と白川藩との違いは何かと云うと、食料の備蓄の差であった。白川藩は民を守るという政治を行い、米の備蓄には大変気をつかっていたが、八戸藩はそうではなかった。自藩の民のことは考えずに、米を江戸に売り続けた。政治のあり方によって人命が左右されるという好例である。この時代でも既に八戸藩の惨状は「人災」であると言い放った、勇気ある人もいたと言われている。
この番組を観て感じたことは、現代の我が国においても、天明の飢饉のような飢饉が訪れないとは決して言いきれないということである。今後、世界規模で、気候の変化や地域紛争による食料の供給不足が生じる可能性があるということである。
我が国の食料自給率は40%と言われており、アメリカやカナダには遙か及ばないばかりか、ドイツ85%、フランス129%、イギリス69%、韓国45%に比べても劣る。今、議論されているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加問題は、メリットとデメリットがあり、難しい問題であるが、少なくとも食料自給率の維持・向上を目指すためには、アメリカの言いなりになり、食料自給率を下げることは避けて欲しいものだ。
(註)ここで言う食料自給率はカロリーベースの総合食料自給率のことである。
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