蝉の声
8月も半ばだというのに暑さは依然として衰えることなく続いてい る。ここ数年、暑さの関係か、蝉の世界に異変が見られる。大阪・ 箕面市でも、朝起きると、クマゼミのけたたましい鳴き声で目が覚 める。庭の木にはクマゼミが何匹も連なるようにとまっているのを 見かけることがある。私の子供時代には、当時、堺市に住んでいた が、蝉といえば、ニイニイゼミが多く、次に、茶色の羽のアブラゼ ミと続き、クマゼミが希少で子供にとっては価値のあるものだった 。
蝉の種類は気温によって変化している様だ。箕面でも、高温を好む クマゼミは平地で鳴いているが、より涼しい気温を好むアブラゼミ やニイニイゼミは平地では殆ど見られず、山の中で鳴いている。ア ブラゼミやニイニイゼミの減少には淋しさを感じる。以前は、これ らの比較的静かな?蝉の鳴き声を聴きながら、物思いに耽り、昼寝 を楽しんだものだ。
芭蕉が詠んだ句に、「閑(しず)...かさや岩にしみいる蝉の声」 というのがある。この句は紀行「奥 の細道」の中にあり、芭蕉が山形藩の立石寺(山形市山寺)という 静かな山寺で詠んだものである。夕暮れの静寂の中で、蝉の声だけ が、岩にしみとおるように聞こえてくる、という意味である。そし て、この蝉の種類はニイニイゼミであろう、といわれている。
確かにそうであろう。クマゼミのようなけたたましい鳴き声はこの 句には相応しくない。かぼそい声で鳴くニイニイゼミがぴったりで ある。今、立石寺でどのような蝉が鳴いているのか、わからないが 、若しもニイニイゼミでないならば、芭蕉のこの句は現代では成立 しない。
また、暑さの関係で、高齢者を中心として熱中症により亡くなられ た方の悲しい話もニュースで伝えられている。昔は日射病という言 葉があったものの、熱中症というような言葉がなかった。
自然が変われば、生活や文化も影響を受けることを感じてしまうこ の頃である。
蝉の種類は気温によって変化している様だ。箕面でも、高温を好む
芭蕉が詠んだ句に、「閑(しず)...かさや岩にしみいる蝉の声」 というのがある。この句は紀行「奥
確かにそうであろう。クマゼミのようなけたたましい鳴き声はこの
また、暑さの関係で、高齢者を中心として熱中症により亡くなられ
自然が変われば、生活や文化も影響を受けることを感じてしまうこ
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