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2013年8月16日 (金)

蝉の声

8月も半ばだというのに暑さは依然として衰えることなく続いている。ここ数年、暑さの関係か、蝉の世界に異変が見られる。大阪・箕面市でも、朝起きると、クマゼミのけたたましい鳴き声で目が覚める。庭の木にはクマゼミが何匹も連なるようにとまっているのを見かけることがある。私の子供時代には、当時、堺市に住んでいたが、蝉といえば、ニイニイゼミが多く、次に、茶色の羽のアブラゼミと続き、クマゼミが希少で子供にとっては価値のあるものだった

蝉の種類は気温によって変化している様だ。箕面でも、高温を好むクマゼミは平地で鳴いているが、より涼しい気温を好むアブラゼミやニイニイゼミは平地では殆ど見られず、山の中で鳴いている。アブラゼミやニイニイゼミの減少には淋しさを感じる。以前は、これらの比較的静かな?蝉の鳴き声を聴きながら、物思いに耽り、昼寝を楽しんだものだ。

芭蕉が詠んだ句に、「閑(しず)...かさや岩にしみいる蝉の声」 というのがある。この句は紀行「奥の細道」の中にあり、芭蕉が山形藩の立石寺(山形市山寺)という静かな山寺で詠んだものである。夕暮れの静寂の中で、蝉の声だけが、岩にしみとおるように聞こえてくる、という意味である。そして、この蝉の種類はニイニイゼミであろう、といわれている。

確かにそうであろう。クマゼミのようなけたたましい鳴き声はこの句には相応しくない。かぼそい声で鳴くニイニイゼミがぴったりである。今、立石寺でどのような蝉が鳴いているのか、わからないが、若しもニイニイゼミでないならば、芭蕉のこの句は現代では成立しない。

また、暑さの関係で、高齢者を中心として熱中症により亡くなられた方の悲しい話もニュースで伝えられている。昔は日射病という言葉があったものの、熱中症というような言葉がなかった。

自然が変われば、生活や文化も影響を受けることを感じてしまうこの頃である。

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