司馬遼太郎・最後の長編小説「韃靼疾風録」を読んで
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我々日本人は、東アジアに住んでいながら、西欧の歴史に目を向けがちであるが、本書を読んでいると、世界の歴史における東アジア地域...の遊牧民族の存在が如何に大きいかを思い知らされる。
この物語は、桂庄助という下級武士が、九州・平戸に漂着した韃靼王族の王女・アビアを、その故国へ送り届ける過程で遭遇する東アジアにおける時代の変化を描いた壮大なロマンである。スケールの大きさに驚かされる。司馬さんはどのようにしてこの構想と必要な知識を得たのであろうか? 時代は、明が滅び、満州族の清が王朝を樹立するまでの期間で、民族としては満州、蒙古、漢、朝鮮、日本の五民族が入り乱れて登場し、それぞれの民族の歴史・文化や精神的特徴が興味深く描かれている。
韃靼とは、モンゴルの一部族タタールを指す呼称であると聞くが、この物語では、中国東北地方に住む小さな民族で、女真人とか満州人のことで、清をつくった民族のことである。
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この小説の最後で、司馬遼太郎さんは、次のような言葉で結んでいる。
・・・・それは別として、庄助やアビアはいつ死んだのであろう。そのことを詮索する根気は、筆者においてもはや尽きた。・・・・(完)
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作家にならないとわからないが、このような大作を描くには、相当のエネルギーと若さ、それに時間を必要とするらしい。司馬さんもこの小説を書いて疲れ果てられたのであろう。そういえば、アニメを描いておられる宮崎駿さんが『風立ちぬ』完成後、同じような趣旨のことを言っておられたのを思い出した。
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コメント
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投稿: ティンバーランド | 2013年10月30日 (水) 16時55分