世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう
フランスの社会人類学者・レヴィ=ストロースが、1955年に発表した『悲しき熱帯』という本の終章に『世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう』という有名な一節がある。この一節に、同じ社会人類学者である川田順造さんが、大変感銘を覚えたと語っておられる。
私も先日、この一節を知って、成るほど、上手く言い当てているなあと感じた。よく考えて見れば、これはあり得ないことを指摘しているのでなく、ごく当たり前のことを言っているのだと思った。今、世界で起きている自然破壊、人間同士の争いがこのまま続くと人類は、いずれはこの地球から消えてなくなるだろう。
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地球46億年の歴史の中で、今の人類であるホモ・サピエンスが誕生したのは僅か20万年前のことに過ぎない。その間に人類は、強い者勝ちで縄張りをし、追い出したり、追い出されたりしながら、お互いに殺戮を重ね、また生態系を破壊しながら、他の動植物の種も絶やしてきた。現在の地球の危機的状況は、人類の行為のゆがみによってもたらされたのである。...
ソ連邦が崩壊し、米ソの対立がなくなり、冷戦が終わった時、これで世界は一挙に平和に向かうかも知れないという期待が膨らんだ。しかし、新たな争い、民族の違い、宗教の違いによる争いが再発し、今も争いが絶えることがない。
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先日も、フランスの週刊新聞「シャルリー・エジプト」が掲載した宗教風刺に対するイスラム過激派によるテロ事件が発生し、これに呼応して、世界の首脳も参加した、表現の自由を求める、テロ反対の大行進がパリで繰り広げられた。
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この大行進を見ていて思った。これでテロはなくなるのであろうか。
表現の自由が必要なことは云うまでもないが、イスラム教の開祖を侮辱するようなことは、明らかに表現の自由の行き過ぎであると感じた。宗教はお互いの存在を尊敬し合い、相互に理解し合わねばならない。テロに反対し、表現の自由を求める行進は結構だが、宗教風刺画の是非を問う、宗教を侮辱するようなことを自粛、自制する動きがもってあってしかるべきであると感じた。
さもなければ、ますます人類は愚かな争いを続け、人類は滅亡の一途を辿るかも知れないと思った。
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