岡倉天心の言葉に想う
今日、岡倉天心の「茶の本」を読みかえしていると、次の一節が目に飛び込んで来た。
これは、岡倉天心が、日清、日露戦争に勝利した日本への関心が高まっていた当時、欧米社会では、その関心がもっぱら日本人の戦闘性に向けられていたことを取り上げ、それを浅はかなものであることと指摘し、日本文化の本質は、戦いよりも平和と調和を求めることにあり、そうした理想を集約したのが「茶道」であると、説いているものである。
『岡倉天心「茶の本」第1章 (茶碗に満ちる人の心)』より抜粋。...
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自分が偉大だとうぬぼれているものが、実はちっぽけなものにすぎないことがわからない者は、ちっぽけと軽んじている他人のものが実は偉大なものであることを見過ごしがちである。
平均的な西洋人は、自己満足に安住して、自分たち以外の文化を理解しようとせず、茶道についても、例によって風変りで子供じみた東洋のさまざまな奇習のひとつにすぎないと片づけてしまうことだろう。日本がこの平和でおだやかな技芸にふけっていた間は、西洋人は日本のことを野蛮な見開国だとみなしてきたものである。それが、近頃になって日本が満州を戦場にして敵の皆殺しに乗り出すと(日露戦争のこと)、日本は文明国になったというのである。近年、侍の掟―日本の武士が進んで自分の命を捧げる「死の術」―については盛んに論じられるようになってきたが、「生の術」を説く茶道については殆ど注意が払われていない。無理解もはなはだしいが、・・・・・・
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世の中の政治家や企業経営者の中には、自分は人格的に偉いと思い(事実は人格的に欠陥があるのだが)、高慢な姿勢で、国民や従業員を導き、愚弄する者が存在することは事実である。
我が国の現首相も然りである。特に前半の言葉は、このような驕りがある人物に投げかけて見たい言葉である。
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