全体主義(国家主義)への警告・歌手が発信するメッセージ
「制服向上委員会(略称:Ski)」という1992年秋に結成されたアイドルグループが、最近活躍しているのが目に付く。学生服をコスチュームにし、“名門女子校のお嬢さん生徒”的に行動するのが特徴だという。恋の悩み、学校生活、脱原発、安保関連法案などについてのメッセージを歌詞に込めて歌う。
このような「制服向上委員会」による社会性を帯びた活動を知って、若かりし頃聴いた歌を思い出した。「風に吹かれて」「花はどこへ行った」「ヘイ・ジュード」という歌である。
これらの歌を唄った歌手は、マレーネ・ディートリッヒ(ドイツの女優であり歌手)とマルタ・クビショヴァー(チェコスロバキアの女性歌手)。このお二人の歌手は、全体主義政権の下で、自由を奪われ暗い毎日を送る人々に希望を与え続けた。
以下は、これらの歌についてのエピソードである。時間があれば読んで頂きたい。
ところで「制服向上委員会」には今後も世の中を明るくしようというメッセージを込めて歌い続けてほしいものだ。
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★「風に吹かれて」は、ピーター・ポール・アンド・マリーによってよく歌われ有名になった歌だが、歌の原作はボブ・ディランである。この歌は、世界的に広がり、ナチスドイツに反抗を呼びかけた、マレーネ・ディートリッヒにより、「答えは風だけが知っている」というタイトルで、東西ドイツ分断下のドイツで歌われた。
★「花はどこへ行った」は、これもピーター・ポール・アンド・マリーによって歌われ有名になった。この歌を作ったのは、フォークソングの父、ピート・シガーと彼の仲間との共作である。ピート・シガーはロシアの作家、ショーロフの小説「静かなドン」の中のコザックの子守唄からヒントを得て、この曲を作ったと言われている。
そして、この歌は、やはりピーター・ポール・アンド・マリーの後、同じくマレーネ・ディートリッヒによって東西ドイツ分断下のドイツで歌われ、ベルリンの壁で隔てた東ドイツの人々に希望を与え続けたと言われる。
★「ヘイ ジュード」は、ビートルズの代表的バラードである。この歌は、チェコスロバキアの女性歌手、マルタ・クビショヴァーにより、1968年のプラハの春の時代(ドプチェク第一書記が政治指導者として活躍していた時代)、「マルタの祈り」という歌と共に共産党独裁政権下のチェコの民主化運動を鼓舞するために歌われた。当時、マルタは25歳、であった。
しかしその後、ソ連軍のチェコ侵入によってチェコは暗黒の時代に戻った。だが、彼女は初心を忘れず、体制に批判的立場を維持、その後、大統領になった民主化運動指導者ハベル氏を助け、ベルリンの壁崩壊後のビロード革命(1989年)に貢献した。
その当時、学生達がマルタを集会に招いて彼女に「ヘイ ジュード」を歌うよう頼んだと言われている。しかし、長い年月を経ていたのでマルタ自身、その歌の歌詞を忘れていた。だが学生達は言った「忘れていても口ずさんで下さい、歌詞については、僕達が覚えていますから」と。彼女に信念を守り続けた人間としての魅力があったからこそのエピソードである。
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