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2015年8月17日 (月)

日本とドイツとの違い?・過去の戦争に対する反省と悔悟

過去の侵略戦争への反省と悔悟を述べた演説として有名なものに、統一ドイツの初代大統領ワイツゼッカー氏が、ドイツの敗戦40年にあたる1985年5月8日に、連邦議会で行った次のような格調高い演説があります。

この演説でワイツゼッカー氏は、ドイツ国民に対し、ナチス・ドイツの過去と正面から向き合い、ありのままに見つめる勇気を持つよう求めました。
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・・・罪の有無、老若いずれを問わず、我々全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に係り合っており、過去に対する責任を負わされているのです。心に刻み続けることが何故かくも重要であるかを理解するため、老若互いに助け合わねばなりません。また助け合えるのであります。問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。

後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはいきません。しかし過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。ユダヤ民族は、今も心に刻み、これからも常に心に刻み続けるでありましよう。我々は人間として心からの和解を求めています。

・・・災いへの推進力はヒトラーでした。彼は大衆の狂気を生みだし、これを利用しました。 脆弱なワイマール期の民主主義にはヒトラーを阻止する力がありませんでした。・・・暴力に訴えたのはヒトラーであります。第二次大戦の勃発はドイツという名前と切り離すわけにはまいりません。この戦いの間、多くの民族がヒトラーによる国家社会主義の統治の下に苦しみ、汚辱にまみれてきたのであります。

・・・ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたて続けることに腐心していました。若い人たちにお願いしたい。他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにして頂きたい、・・・・・若い人たちは、互いに敵対するのではなく、互いに手を取り合って生きていくことを学んで頂きたい。
・・・今日、5月8日に際し、出来る限り真実を直視しようではありませんか。
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このワイツゼッカー氏の演説から学ぶことは、過去を意識的に変えることは断じて許されない、過去の真実を正視しなければならない、諸外国の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられてはならない、ということです。
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一方、先日の我が国・安倍首相による戦後70年談話を見てみましよう。ワイツゼッカー氏の演説との違いに唖然とします。安倍首相の演説は極めて不十分で空疎なものです。しかも、ワイツゼッカー氏の演説の内容とは相いれないところも多く見られます。
各界の人々から指摘されて、侵略や植民地支配、反省とお詫び、などの言葉を談話に入れはしましたが、彼自信が、本心で反省やお詫びを述べたということが伝わってきません。何故でしよう。安倍首相の本音は、日本が侵略し、植民地支配を行ったことを、全面的に否定する気持ちがないからです。

無理もないことです。本音は、国家主義者である祖父・岸元首相が加担した満州への侵略と満州支配を、正当化し、侵略とは言いたくないからでしよう。

また、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません、というくだりは言語道断です。首相は我が国の被害者意識のみを重視し、加害者としてのアジアの人々に対する謝罪の念が希薄です。被害者は加害者のことを真実の謝罪がない限り許さないでしよう。
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我が国が、村山談話、小泉談話を世界に幾ら発信しても、中国や韓国からの非難がやまないのではないか。中国や韓国の方に問題があるのではないかという意見があります。
それは、間違っています。日本が誠心誠意、謝っていないからです。政府として反省や謝罪を示しても、自民党の閣僚を始めとして、国家主義的思考に染まった人たちが、それを疑わせる発言を繰り返す、靖国神社に参拝する、といった行為を繰り返すからです。

この点、ドイツはワイツゼッカー氏の演説を端緒に、ナチス・ドイツが犯した誤りを一切、肯定することを禁じました。ナチスを賛美するようなことを言うと罰せられる法律も作りました。我が国の良い点でもあり、良くない点でもある、何事も曖昧にしておくという性向が、このような明瞭な形での法律化を拒んでいるのかも知れません。

ですから、我が国が本当に世界から平和を愛する国民として認められるには、まず第一に、我が国が犯した過去の侵略戦争に対する真摯な反省とお詫びが欠かせません。そういう意味では、今回の安倍談話はそのチャンスを逃がしたともいえます。
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