天皇、皇后両陛下のフィリピン訪問に思う
天皇、皇后両陛下は1月26日、フィリピンに向われました。訪問は皇太子ご夫婦時代の1962年以来のことです。国交正常化60年を迎えての親善訪問ですが、太平洋戦争の激戦地への慰霊の旅ということの意味合いが強いそうです。
太平洋戦争では、日本による侵略の戦禍のため約111万人といわれるフィリピン人の方々が亡くなられたそうです。一方約52万人の日本兵が亡くなられました。
両陛下は27日にはフィリピン人の戦没者を悼む「無名戦士の墓」を訪れた後、29日は日本人戦没者を悼む碑を訪れる予定です。
今回の両陛下のフィリピン訪問は、フィリピンの人々に対し心からお詫びをしたいという両陛下の強いお気持ちから設定されたそうです。
満州事変、日中戦争、太平洋戦争という、昭和の初め、我が国の心ない政治家と軍部によってもたらされた愚かな戦争。この時代を生きた昭和天皇は軍部による外国への侵略に反対し、常に彼らを戒める立場にありました。しかし意に反し日本は戦争への道を突き進んでしまいました(半藤一利氏「昭和史」等にこのことが記載されています)。
昭和天皇の胸には、こんなことは二度とあってはならないという強いお気持ちがいつまでも残っていたのでしよう。そのお気持ちがお子さんである現在の天皇と皇后陛下に引き継がれたのでしよう。
今回のフィリピン訪問に当たって天皇陛下は次のように述べられています。
「・・・私どもは、ガルシア大統領が国賓として日本を御訪問になったことに対する答訪として、昭和37年、昭和天皇の名代として、フィリピンを訪問いたしました。それから54年、日・フィリピン国交正常化60周年に当たり、皇后と共に再び同国を訪れることをうれしく、感慨深く思っております。フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては、膨大な数に及ぶ無辜の(罪のない)フィリピン市民が犠牲になりました。私どもはこのことを常に心に置き、この度の訪問を果たしていきたいと思っています。・・・・」
天皇陛下の心からのお詫びのお気持ちが伝わってきます。
一方の安倍首相。2,013年4月、参議院予算委員会で、侵略を認めた村山談話について問われ、「侵略の定義は学問的に定まっていないと言っていいだろうと思うし、国と国の関係においてどちらか側から見るかで違う」と疑問を呈しました。侵略した事実を正直に認めず、その後も加害国に対する真摯なお詫びの言葉に欠けるようです。淋しいですね。
写真は今回のフィリピン訪問時及び1962年の皇太子ご夫婦時代の訪問時の写真です。
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