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2016年4月 4日 (月)

若者の恋愛事情

「久米書店」という番組に出演していた牛窪  氏が、最近の若者の恋愛事情について話しておられる内容に大変興味を覚えました。牛窪さんは、「恋愛しない若者たち~コンビニ化する性とコスパ化する結婚~」という本を書かれています。「草食系男子」という言葉がありますが(私は知らなかった)、これは彼女が作られた言葉だそうです。

この本を読んで今の若い世代の恋愛事情が大きく変わっていることに改めて知りました。まず書の冒頭で、今の20代男女は、「恋愛しない、できない」のではなく、「したがらない」のだ、と牛窪さんは述べています。今、彼氏、彼女がいない20代の割合は、女性で60%、男性で76%、であるのに対し、30年前はそれぞれ35%、43%であったそうです。約半減です。そして、このような状態を放置すれば、更に未婚、少子化が加速し日本の将来は暗いと述べています。

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なぜこのようになったか? 牛窪さんは、これについて、長引く不況による非正規社員の増加による結婚願望の減少、男性の草食化、女性の社会的進出と独立化、超親ラブ現象と性のセルフ化・嫌悪化、などを挙げておられる。

このため、今やかつてのロマンチック・ラブや昭和由来の恋愛結婚は、賞味期限切れとなり、好きだと思っていても、相手に断られるのがこわいので言いだせない男子や、夫はいらないから子供だけは欲しいので「産むだけ婚」に走る女子など、恋愛を巡る話は多種多様である。そして、全体として、恋愛は面倒なものであるから、そのリスクを避けたいと考えている若者が増えているという。

 

昭和の「恋愛結婚」は、相手を見つけるのも、生活を始めて子作りするのも、別れるのも、すべて、「本人の自由」だとするところにメリットがあったが、でも裏を返せば、自由の根底には「自己責任」が横たわる。しかし現実には最近、生活保護や就学援助を縮小する自治体が相次ぐ一方で、不妊治療費の女性やシングルマザーへの支援など、「不妊」「離婚」へのバックアップはなかなか進まない。多少の婚活支援はしても、その後の生活は完全に「あなた任せ」、だから若者は「失敗したくない」と、恋愛や結婚に身構え、背を向け始めた。

 

牛窪さんは、このような悲観的な状況ではあるが、今のような不安な時代、若者には依然として誰かと連帯する経済的・心理的メリットを痛感している者も多い。従って、たとえば、一定期間同棲するカップルに、婚姻した夫婦と同等の権利や保護を与える法律の導入、また「結婚すればお得」だとコスパ(コストパーフォーマンス)でメリットを感じてもらえるような制度(公団住宅の優遇制度など)が必要ではないかと述べた上、勿論、若者が恋愛や結婚、家事・育児シェアへと向かいやすくするため、非正規への社会保障やワークライフバランスを推し進めることも重要である、と締めくくっておられる。
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