狭山池:日本最古の灌漑用ため池
10月中旬、“日本最古の”灌漑用ため池である狭山池を訪れました。その広さと背後に生駒山を望む風光明媚な風景に魅了されました。このため池の築造は7世紀前半で、『古事記』や『日本書紀』にも登場します。風光明媚な池としても知られ、『枕草子』には、「さ山の池」という記述が見え多くの歌や絵の題材にもなって来ました。
訪れたのは日曜日ということもあって、堤を散歩する人、ジョギングする人、家族でピクニックに来ている人など、人々の憩いの場所となっていることが窺えました。場所は南海電鉄高野線の大阪狭山市から西へ700mの所にあります。
因みにため池と云えば、香川県仲多度郡にある空海が改修したと伝えられる満濃池が有名ですが、こちらは“日本最大の”灌漑用ため池です。
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狭山池は、飛鳥時代に誕生したため池で、その改修には、奈良時代の行基、鎌倉時代の重源、江戸時代の片桐且元など歴史上の有名な人物がたずさわっています。1400年の歴史を重えた堤、水を取り出す樋、堤の滑りを防ぐ木製枠工などの文化遺産には、各時代の知恵と工夫が活かされています。そして昭和61年から16年の歳月をかけ平成13年には「平成の改修」と呼ばれる工事が行われ、それまで主に灌漑用のため池として利用されていた狭山池が、洪水を調節する機能を持った治水ダムに生まれ変わりました。
因みにこの狭山池は、1704年の大和川の付け替えまでは、現在の大阪市域に至る地域まで灌漑していました。
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近くにある狭山池博物館(入館料は無料)では、このような貴重な文化遺産を未来に継承し、古代からの人々の暮らしに深くかかわってきた「治水」、「かんがい」と土地開発の歴史を、現地から移築した文化遺産を中心に、映像や模型などを使い、わかりやすく紹介されています。圧巻は、改修工事の際に切り出した堤体の実物断面です。歴史を感じさせます。大人にも子供にも大変勉強になるところです。
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