里山資本主義が日本の未来を救う!
今年5月に新著「伝えたい細やかな日本のモノづくりの心」を出版しましたが、その後、その内容を若干引継ぎ、何か社会に役立つ書物をもう一冊書きたいという思いが再び芽生えて来ました。その書物の構想は概ね出来上がりつつあります。
このような時、原稿を書くに当たって何らかのヒントを得たいということで手にした一冊の一つが、藻谷浩介著「里山資本主義」(写真参照)です。まさに目から鱗が落ちるような感動を覚えました。今、政府は“地方創生”などというスローガンを掲げてやっているようですが、日本国民はそのような公的な政策に頼らなくても、自力で将来を何とか生きて行こうと頑張っているのを感じました。
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本書では主に中国地方や瀬戸内海沿岸地方における事例が紹介されています。これらの地方においては、世の中の先端を走っていると自認してきた都会より、遅れていると信じこまされてきた田舎の方が、今やむしろ先頭を走っているのです。
“里山資本主義”とは藻谷さんが名づけた言葉で、「お金の循環が全てを決するという前提で構築された『マネー資本主義』の経済システムの横に、こっそりとお金に依存しないサブシステムを再構築しておこう」という考え方です。日本は山、川、野、という自然に恵まれています。そのため、地方の小さい町や集落であれば、生活に必要な水、食料、燃料などがその中で自給自足、地産地消費でき、いわゆる循環経済システムをつくることが可能だということによります。これによって日本全体のGDPや経済成長率といった指標は大きくなるよりはむしろ縮小する可能性もあるということです。
例えば、木材屑を使った木質バイオマス発電による地域電力の自給、小規模農家が供給する野菜を扱ったローカルな市場やレストラン経営、レストランで働く若いお母さんのための保育園経営、地元のミカン農家のミカンを使った少量多品種、画一化されていない個性豊かなジャムの製造、また地域通貨の採用による外部通貨に過度に頼らない仕組みの形成、等々です。
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このような里山資本主義の研究は世界の賢明な諸国の間では、すでにかなり前から進められているというのです。日本も21世紀を生き延びるために遅れないようにしなければなりません。例えば、日本とよく似た森林国・オーストリアなどでも進行中です。これについては追って記事を書きたいと思います。
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