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2019年6月 5日 (水)

中国の民主化

豊かになれば民主化が進むだろうと思われた中国だが、全くそんな気配はない。否むしろ著しく後退した。特に習近平体制になってからが酷い。今の中国は国民監視社会へ突き進んでいる。昨日のBSTBS報道1930を見てもよくわかった。監視カメラの設置は6億台にも達し、犯罪は減ったものの、監視カメラそのものが、中国共産党の意向に沿わない人たちの摘発にある以上、そういった人たち、漢民族は言うまでもなく、ウイグルやチベットなどの自主独立を求める人たちの摘発が進んでいる。

今後、中国の民主化はどうなるのだろうかということだが、これはなかなか難しい。皮肉なことに、IT技術の進歩による国民監視社会の進展が、人々の恐怖心を煽り、そのような自由を求める動きを封じるので、人々が民主主義を求める動きを起こすことは難しい。
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私は中国に民主主義化の動きが起こるとすれば、権力者側にいる良心的な人物が、体制内で変革を起こすことしかないのではないかと思う(北朝鮮についても同じことが言える)。たとえば、ペレストロイカを初め、ソ連の崩壊を導いたゴルバチョフ元ソ連大統領、東欧チェコスロバキアの民主化に着手し“プラハの春”と言われたと当時のチェコのドプチェク第一書記長(ソ連の介入を招き、一時的には失敗に終わったが、チェコ国民に勇気を与えた)、そして中国では、胡耀邦元総書記とそれに続く趙紫陽元総書記である。1989415日、中国共産党の改革派指導者胡耀邦氏の死去に伴い、同氏を追悼する多数の学生が民主化を求めた動きを起こしたが、当局によって弾圧された(天安門事件)。この運動が上手く行っていれば中国は今とは違って、国際社会の中で立派な存在感を示していたであろう。

中国は天安門事件で、民主化運動を弾圧したから、今の中国の発展があると主張している。とんでもないことだ、中国の発展は、その後の、抑え続けられているとはいえ、民衆の努力と諸外国からの支援があったからだ。
個人の尊厳が失われた社会、言論の自由や結社の自由のない社会には、一時的には経済発展はありうるが、長期的には、いずれ、一人ひとりがものを考える能力が失せ、社会は後退に向かうだろう。そのような事態になって初めて、中国政府の権力層の中に、経済成長だけでは何も人間社会の諸々の問題は解決されず、個人の尊厳を大切にする世の中こそが、人間社会の文化を発展させるのだということに目覚めるのだろう。その時まで待つしかないが、今、中国国民は海外旅行などで、自国の政府の言っていることと、海外で見聞きすることが違っていることに気付き始めている。そのような世代が権力の中枢を占めるようになる時、事態は意外と急激に変化するのかも知れない。

中国の歴史家・袁偉時氏(87)も語っている。「言論統制強まれど口塞ぐことはできぬ」

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中国は国家主義(左の全体主義=共産主義)の国だが、共産党員が権力と富を独占し、とてもマルクスが唱えた貧富の差がない共産主義国とは言えない。そしてお金を儲けることに対しては全く自由で何も言われないが、政治的発言の自由については許されない。これは右の全体主義=ファシズムについても同じことが言える。

日本国民も、安倍政治のような右翼国家主義的政治を、このまま許しておけば、中国のように国民を監視する社会になってしまうかも知れないという危惧をもつことが必要だ。

国家主義は左であろうと、右であろうと個人の尊厳を無視する。

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