「平然と胸が痛むと鉄面皮」(森友事件)
心ある、正義感の強い人なら誰しもまだ忘れていないし、未解決のまま葬ってしまってはいけないと思っている“森友事件”が、週刊文春の手で、再び闇の中から照らし出された感がある。安倍政権という“非情な” 政権の下で、犠牲者となられた、近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの奥さんは、夫の手記を明らかにされ、国や佐川氏を相手に訴訟を起こした。これに対して意見を聞かれた、財務相や安倍首相の反応はそっけないものだった。川柳で詠んで見ました。「平然と胸が痛むと鉄面皮」。
朝日新聞「天声人語」に掲載された記事は、この事件の核心を衝いています。
=================
「“紙つぶて”という言葉がある。紙に書かれた文字が“つぶて”となり、ときに権力者たちの急所を突く。1970年、軍事政権下の韓国で、金芝河さんが発表した風刺詩「五賊」がまさにそうだった▼財閥や国会議員などを5人の悪党になぞらえ、攻撃した。高級公務員に対しては「できることでも絶対やらず、できないことでもすんなりと、机の上には書類の束、机の下には紙幣の束」などと書いた。詩人は逮捕された。▼こちらも、鋭く重い紙つぶてが投げられた話である。森友文書の改ざんに加担させられ、死を選んだ近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの手記が明らかになった。生の最後の場面で書いたと思われる記述は、迫真である。▼改ざんの指示が財務省の佐川宣寿理財局長(当時)から来たこと。彼の部下たちが修正箇所をどんどん拡大し、現場の近畿財務局に推しつけたこと。その指示に、あっけらかんと従う者すら一部にいたこと・・・▼手記が示したのは、不正な行為、違法な作業が止まることなく進む巨大組織の姿である。赤木さんの妻は、国や佐川氏を相手に訴訟を起こした。手記を前にしても再調査すらしようとしない財務省とは、組織を守るだけの存在なのか▼冒頭の詩には高級公務員のこんな生態も描かれ、どきりとする。「目上の者には愛玩犬、目下の者には狩猟犬」。上には従う愛玩犬の群れが思い浮かぶ。そして最終的にしっぽを振った相手、すなわち安倍首相にも、つぶては投げられている。
=================
(注)紙つぶて:紙を固く丸めてぶつけるもの(広辞苑)
| 固定リンク
「2.日記・随想・歴史紀行・音楽」カテゴリの記事
- 強行された五輪ではありますが、懸命に頑張っているアスリートには敬意を表したい(2021.07.27)
- 相撲道を守るには How to keep Sumo-do(2021.07.20)
- 大谷翔平さんはなぜ、皆に愛されるのだろうか(2021.07.14)
- 現代人が留意すべきこと(2021.07.10)
- テイカカズラ(定家葛)(2021.06.16)
コメント