テイカカズラ(定家葛)
先日、雨上がりの山道を歩いていると小さな白い花が道に散っているのが目に入りました。箕面観光ボランティアガイドの友人から教えてもらった、テイカカズラ(定家葛)だと直ぐにわかりました。テイカカズラは、5枚の花弁をもつ小さな花で、それぞれが僅かにねじれプロペラ状になっています。ほのかに甘い香りを発し、ジャスミンに似た香りだという人もいます。
テイカカズラ(定家葛)は謡曲の「定家」に由来する名前で、式子内親王を愛した藤原定家が、死後も忘れられず、ついに定家葛に生まれ変わって彼女の墓に絡みついたという伝説に基づきます。
式子内親王は後白河天皇の皇女。歌人の定家と密かに契りを結んでいたが、やがて、賀茂神社に仕える斎宮となった後、病気になり退きます。その後出家し、生涯を独身で過ごしました。彼女の死後、定家も亡くなりましたが、式子内親王の墓は、定家の執念による葛にまといつかれていたと言われています。
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百人一首は藤原定家が撰者ですが、式子内親王も百人の中の一人として、選ばれています。
定家が彼女を選んだ過程を想像することは興味深いことです。
「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする」(式子内親王)
(わが命よ、絶えてしまうなら絶えてしまえ。このまま生きながらえているなら、
じっと押さえている力が弱って、恋心が外に現れてしまうと困るから)
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